パニック障害=コルチゾールの過剰分泌

 パニック発作の最中には、種々の身体反応がいっせいに起きる。また、発作が起きていない時間でも、身体の不調が多い。自律神経失調のような不調がある。
 パニック障害の患者における、HPA系や、負のフィードバックの機能不全の有無が調査研究されている。
 うつ病になった人は、HPA系の亢進、負のフィードバックの機能不全がみられるのは、前から指摘されていた。パニック障害の患者と、コルチゾールの過剰分泌の関係が報告されている。  パニック発作の機序は、まだ、充分には、解明されていない。しかし、薬物療法で改善効果が充分でない患者でも、認知的技法で、改善する患者がいるので、心理療法による治療法のさらなる向上が望まれる。
 私たちは、パニック障害の患者には、病気の仕組みを理解すること、感情の処理法を身につけて、いつも、そして、身体反応を感じた時に発作と解釈しない心得の習得のほか、うつ病の患者と同様に、朝早く起きる、朝食をとる、呼吸法を行なう、運動をする、などをすすめている。HPA系の亢進が改善されて、コルチゾールの負のフィードバックの機能不全の改善に影響すると思われる。

 発作をおそれて、広場恐怖を起こし、その不自由さのために、つらい感情を起こし続けていると、ストレスホルモン分泌の 負のフィードバックの機能が不全となるので、ささいなストレスでも、ささいな身体反応でも、自律神経、HPA系の興奮が続いて、各種臓器に不調を起こす。長引くと、広場恐怖、うつ状態になるリスクが高まる。