パニック障害の治し方
パニック障害の患者は、睡眠リズムの乱れがある。HPA系の変調のために、コルチゾールの分泌が多い場合がある。これが、発作のない時の、身体症状をひきおこす。予期不安を起こしやすいが、不安は扁桃体の興奮である。少しのことで、扁桃体が興奮して不安を感じて、種々の行動を回避する。
扁桃体の過敏性、HPA系の乱れから、パニック発作の責任部位(PAG=中脳水道周辺灰白質という説が有力)の亢進、自律神経の嵐を起こして発作を誘発しやすい。
セロトニン神経(これは、無意識の抑制であるが、ほかに、前頭前野からの抑制もあるが)が、扁桃体やPAGの興奮を抑制していると思われ、パニック障害には、セロトニン神経に作用する(再取り込み阻害の作用)抗うつ薬(SSRIなど)を服用すると、治る人がいる。
薬物療法で効果がない人、完治しない人は、図の実践をしていただきたい。これが、セロトニン神経や前頭前野を強化する。
- 朝早く起きる、朝日をあびる=これは、セロトニン神経を活性化する。仕事が多くある人は、深夜には寝て、早起きして、朝に仕事をしたらどうだろうか。
- 朝食をとる=セロトニンの合成に必要な、バナナ、大豆、牛乳などと、前頭前野のエネルギーとなる炭水化物(ごはん、パン)を食べないと、朝の症状が悪い。
- 呼吸法をする=はくのを長くする「ゆっくり呼吸」。セロトニン神経と前頭前野を活性化する。興奮をしずめる副交感神経を優位にする。これを、たくさん、実践する。
- 運動をする=セロトニン神経と前頭前野を活性化する。これを、毎日、30分〜1時間、実践する。「フリフリグッパー体操」は、室内でできる。
- 身体のいやな感じ、自律神経失調に似た症状や感覚が感じられても、否定的な自動思考(嫌うような、嫌がるような、自己嫌悪するような考え)をせず、呼吸法を行なったり、仕事や「今、目前の」遊びなどに、意識を向けていくという生活態度でくらす。
- 発作の前触れのような、不安の感情が起きても、動悸やはきけ、過呼吸が起きても、その時も、恐怖不安に思考を渦巻かせず、意識を強く、「ゆっくり呼吸」に向けて、発作がしずまるのを待つ。
こうした生活をしていると、セロトニン神経、前頭前野の抑制機能を活性化して、自律神経を正常化して、睡眠障害や身体症状が軽くなる。そうして、少し、自信をとりもどしてきたところで、回避している場所、一つづつ、接近するエクスポージャー法をこころみる。
マインドフルネス心理療法の特徴は、すぐには、エクスポージャー法(行動療法の技法)を行なわないことである。行動療法の医者やカウンセラーは、すぐに、エクスポージャー法を行なわせようとするから、できない患者がいる。
傾聴型のカウンセリングと、違って、上記のような(カウンセリングを受ければ、ほかに、種々の心理教育がある)助言を行なう。だから、傾聴型のカウンセリングで、治らない心の病気でも、マインドフルネス心理療法では治る人がいる。他の心の病気でも、脳内の脆弱性、心理的な反応パターン(「価値崩壊への反応パターン」)や認知のゆがみがあるのがわかっているので、改善効果のある技法を積極的に助言する。
他の認知行動療法で治らなくても、マインドフルネス心理療法は、ちがう技法を使うので、ためしてみる価値がある。
カウンセリングを受けると、呼吸法を用いた、注意集中、自動思考抑制、徹底受容など、微妙な心得の実践指導や心理教育がある。改善の智慧がわかりにくい方は、一度、面接の指導を受けてください。