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パニック障害をマインドフルネス心理療法で治す(1)

 脆弱性や習慣化された行動は、すぐには、パニック障害は治らない だろう。長期の治療計画をたてます。  まず、3か月は、基礎的な力の向上になることを実行する。

パニック障害をマインドフルネス心理療法で治す

 過呼吸、パニック発作、パニック障害には、マインドフルネス心理療法が効果がある。た だし、呼吸法による習練のポイントをなかなかつかむことが難しい。しばらく、実行しても、ポ イントをつかめない場合、指導者の指導をえる。

基礎的な実践

 パニック障害を治すポイントは、脆弱部分の亢進がないように改善する方向と、無意識の抑制 の向上と、意識的な回避思考、連鎖思考で広場恐怖を拡大させていくという思考連合の解放である。まず、次のことを実行する。

誤解して発作をおさえこもうとしない

 初期段階で、勘違いしやすいポイントを書きます。発作を呼吸法でおさえるのではありません 。ふだん、呼吸法を充分やらないでいて、前ぶれを感じた時に、呼吸法をあわててやっておさえ る努力をするのではありません。

問題の理解と覚悟が必要

 パニック発作、過呼吸について理解して、その時だけ起きることをおさえつけようという努力 をしてはいけません。脳に変調があり、修復されないと、起きるものは起きる。
 弱い部分の改善に効果があることを長期間にわたって習練していく。
 また、覚悟が重要です。発作が、起きようとかまわない。脳の中に脆弱な部分、興奮する部分 がある。だから、弱い部分がある間は、条件(過労、睡眠不足、ストレス、感情興奮など)がそ ろえば、起きる時は起きる。そこで、起きてもかまわない。起きた時には、とおりすぎるのを観 察する。だが、単なる軽い前ぶれ反応だけかもしれないのに、嫌悪しあわてて感情を興奮させる と、その感情自体が次々と興奮させて、パニック発作に火をつける。ただし、発作を誘発しないように、条件整備の努力はすべきです。生活習慣の適正化、予期不安(の思考の連鎖)をしないような習練などです。起きてしまった前ぶれ<症状は止められないが、次のステップに移ることを止めることができるものがあります。予期不安の思考や回避行動・まぎらし行動は習練によって抑制できます。
 だから、長期間の治療(薬物療法、または、心理療法の習練)によって、弱い部分の修復と、 抑制力の向上になるようなことをする。マインドフルネス心理療法ならば、推薦される呼吸法、 生活技法や運動などを、毎日、実践を続ける。6か月〜2年ほどで、発作が起きなくなる。脆弱 性(亢進)の部分(PAG=中脳水道周辺灰白質や扁桃体、海馬など)が修復されたこと、抑制力を 発揮する部位(前頭前野、縫線核セロトニン神経)が強化されたことによると推測される。

起きてもかまわない

 だから、2〜3年の治療計画を立てて、その完治の期限前に、起きる発作は、起きてもかまわないと覚悟するのである。死ぬことはない、起きても、呼吸法などで、嵐が過ぎ去るのを観察すると覚悟する。 マインドフルネス心理療法を開始して3カ月程度で、発作が起きないようにしよ うという努力はおかしい。
 前ぶれみたいな身体反応を感じる瞬間が起きたら、起きたものをおさえようという努力をせず、観察するだけの心得を用いて、次のステップ(悪いことを予想する)にすすまないような思考を抑制をします。起きてしまった反応を嫌悪せず、 いつものとおり(だから、毎日の実践が必要である)、分配性注意法の要領で、呼吸法を始める 。起きてしまった身体反応(前ぶれ)をおさえるのではない。身体反応は感じつつも(それを嫌悪する思考、予期不安の思考に発展させず)、呼吸法を行なう。この呼吸法を意識から離さず、ずっと行いつづける。途中で、呼吸法を 放棄して、薬にとびつくとか、逃げるようなことをせず、本来の行動を続ける。前ぶれ身体反応が、 発作にまで拡大するかもしれないし、途中で、しぼむかもしれない。それは、どちらでもよいと覚悟する。 呼吸法、本来の行動を続ける。分配性注意の要領である。予期不安をふくらませて、さわぐから、感情が大きくなって、パニック発作の責任部位が発火して、発作が起きてしまう。あるいは、途中で、そのまま観察することを放棄して、逃げるとか、薬を飲む行動をとってしまうので、治らない。
 こうして、時々起きる前ぶれのような身体反応、パニック発作が起きてもかまわず、失望せず 、呼吸法や運動、生活技法を継続していると、意識レベルと無意識レベルでの抑制力が強化されて、パニック発作は起きなくなる。広場恐怖も、徐々 に、消失していく。