パニック障害の人は扁桃体・海馬が興奮しやすい



 パニック障害の人は予期不安や勘違い(単純な身体症状を発作の前触れだと勘違い、等)による不 安を起こしやすいことが観察される。  パニック発作を経験した人のすべてが、予期不安、広場恐怖に発展するわけではない。それに発展 する人には、何かの機能亢進か低活性化が起きている可能性がある。予期不安や勘違い不安は、認知 (思考)、情動が関連しているのだが、前頭前野の低活性化が起きているようである。前頭前野の制 御機能が十分ではないために、予期不安の思考、不安の感情が起きやすい。これが予期不安である。 予期不安の中で、思考、感情の興奮を抑制できずに、自律神経(交感神 経)を異常に亢進させて、責任部位を興奮させて発作が起きてしまうと推測される。

 不安が起きやすいのは、パニック障害の人は扁桃体・海馬が興奮しやすいことが観察される。「Clinical Neuroscience」(特集「側頭葉」)によれば、扁桃体や海馬における機能の変 化がみられることが報告されている。(PD=パニック障害)  パニック障害の人の扁桃体や海馬領域は、興奮しやすくなっていて、他の不安障害と同様ではない 。こういう特徴は、心理療法にも考慮されると、治療効果を高めるであろう。
 認知療法でも、言葉や身体反応を発作にむすびつけないように指導されるが、認知の修正方略だけ で成功しない患者もいる。その点、注意集中、連合解消、徹底受容などの実践的カウンセリング手法 のある自己洞察瞑想療法(マインドフルネス心理療法)は効果があがりやすいと思われる。
 マインドフルネス心理療法の技法では、感覚、身体反応などを、そのままで受容して、言葉・判断・思 考に連合させない訓練を継続してもらう。これによって、不快な刺激があっても、呼吸や目前の見ることに、注意を向ける(分配性注意)ことができるようになり、 自信が強くなって、不快な刺激を受容できるようになり、予期不安、勘違い不安 が減少していく。
 こうして、広場恐怖への改善に、突入できるようになる。不安がありながらも、注意を目前のことに強く向けて、一つづつ、広場恐怖が解消されていく。

(注)