パニック障害の神経解剖学的経路
うつ病は、薬物療法でも治らない人がいるが、パニック障害も治りにくい。アメリカ精神医学会によれば、欧米で行われた主な調査から、パニック障害の経過を次のようにまと、治療開始後6年から10年後の転帰は、
- 良好 30%
- 症状はあるが改善 40〜50%
- 不変または悪化 20〜30%
となっている。
すなわち、完治は3割である。日本でも、長引いて困っている人が多いようだ。
パニック障害は、扁桃体や海馬の機能亢進があって、扁桃体が異常に興奮した時に、
動悸、心悸亢進、嘔気、窒息感、死ぬことに対する恐怖などが一斉におしよせる。
こんなに激しい発作が起きるので、色々な場所にでかけることができなくなる(広場恐怖)。社会生活に支障が起こって、苦悩するので、「うつ病」を併発することも多い。
パニック障害の神経解剖学的経路は、次のような仮説が有力である。
- 青斑核が亢進して、自律神経が異常な興奮→心拍数増加、血圧上昇
- 中脳中心灰白領域の亢進→防御反応
- 傍小脳脚核→過呼吸、呼吸のタイミングの変調
- 扁桃体→恐怖の感情
薬物療法で治らないパニック障害の患者には、みだりに扁桃体を興奮させないような心得(呼吸法を中心として、受容、抑制などの心得を訓練する)を会得してもらうことで、発作を起こりにくくして、広場恐怖、予期不安を解消させる。
薬物療法では、3割しか完治しないといわれるのだが、そういう人でも、この心理療法で治るかたがいるので、この心理療法を普及させたい。発作の機序が複雑ではないから、グループ・カウンセリング方式でも、できる。