パニック障害の神経解剖学的経路

 うつ病は、薬物療法でも治らない人がいるが、パニック障害も治りにくい。アメリカ精神医学会によれば、欧米で行われた主な調査から、パニック障害の経過を次のようにまと、治療開始後6年から10年後の転帰は、 となっている。
 すなわち、完治は3割である。日本でも、長引いて困っている人が多いようだ。
 パニック障害は、扁桃体や海馬の機能亢進があって、扁桃体が異常に興奮した時に、 動悸、心悸亢進、嘔気、窒息感、死ぬことに対する恐怖などが一斉におしよせる。
 こんなに激しい発作が起きるので、色々な場所にでかけることができなくなる(広場恐怖)。社会生活に支障が起こって、苦悩するので、「うつ病」を併発することも多い。

 パニック障害の神経解剖学的経路は、次のような仮説が有力である。  薬物療法で治らないパニック障害の患者には、みだりに扁桃体を興奮させないような心得(呼吸法を中心として、受容、抑制などの心得を訓練する)を会得してもらうことで、発作を起こりにくくして、広場恐怖、予期不安を解消させる。
 薬物療法では、3割しか完治しないといわれるのだが、そういう人でも、この心理療法で治るかたがいるので、この心理療法を普及させたい。発作の機序が複雑ではないから、グループ・カウンセリング方式でも、できる。