パニック障害の改善
 =連合の解消

   パニック障害は、扁桃体での感情(不安)が過敏であること、前頭前野での判断が悲観的・危機的になっていること、別な選択ができず同じ反応がくりかえされる。常に同じような反応を維持する(機能連合)ことによって、広場恐怖などが生じて、社会生活に支障をきたす。
 ここでは、このようなパニック障害にみられる機能連合の解消について、述べる。  自己洞察瞑想療法では、数種の技法群があるが、ここでは、徹底受容法と不要機能抑制法に焦点をあてる。別の技法である「価値ある直接経験への集中法」(呼吸に注意を集中する方法がその一つ)を行うように、その練習を繰り返していくと、上記の「苦悩の連鎖・連合」の次のステップに即座に移行しないで、現在の(従来は「つらい」と判断していた)不安や感覚や身体反応などをしばらく観察し、とどまることができる(これが「受容」の一種である)ようになる。これには、図(P-6)のように、苦悩の連鎖の中に、多くの箇所(「機能」)がある。そこを、判断せず、嫌悪せずに、とどまる(「受容」)のである。認知の修正によらないので、「認知療法」ではない。
 また、この「受容」を実践しつつ、価値実現に不要なもの(「機能」)が生起するのを意識して抑制している(「不要機能抑制」)。たとえば、発作の前触れのような勘違いさせるような身体反応を感じたとしても、思考(悪く予測する思考)が生起しないように、抑制しておく。そして、予期思考の抑制に失敗して、不安が生起しても、今度は、そこにとどまり(「受容」)、次の、さらに悪く思う思考を抑制しておく(「不要機能抑制」)。こういう受容や抑制は、認知療法的技法だけでは、実現しにくいが、呼吸法などの「直接経験への集中法」の繰り返し実践を指導する、自己洞察瞑想療法では、達成できるクライアントが多い。これが、この心理療法の特徴である。
 パニック障害の受容と不要機能抑制は、図(P-6)のようである。なお、一般的な「受容」「不要機能抑制」も参照してください。(6月中に掲載予定)
 パニック障害には、他の技法も用いる。