パニック障害・最近の研究動向
=パニック障害は眼窩前頭皮質の機能低下
パニック障害患者の眼窩前頭皮質の機能低下がみられる。
「ドキサプラムは呼吸促進薬であり、不安動物モデルを用いた研究でもラットに不安を惹起することは確認されている。この薬剤をパニック障害患者およびコントロールでの陽電子放出型断層撮影(PET)による脳血流を測定した報告がある。それによると、パニック障害では眼窩前頭皮質における脳血流が低下していた。よって、前頭葉の機能低下により扁桃体への抑制が不十分なため、不安が惹起される可能性がある。また、眼窩前頭皮質の脳血流と不安の程度は、逆相関することが指摘されている。以前我々も近赤外分光法(NIRS)を用いてパニック障害患者に不安関連写真を呈示したところ、パニック障害患者ではコントロールに比べて左前頭葉の機能が低下していることをすでに報告しているが、これはドキサプラムの結果と多くは一致しており大変興味深い。」(1)
眼窩前頭皮質は前部帯状回(情動領域)を介して扁桃体と連絡しており、意識的な感情や衝動の制御に関わっているので、眼窩前頭皮質の機能低下は
予期不安、広場恐怖をひきおこすことに影響していると考えられる。
- (1)「神経化学・神経薬理学的仮説」穐吉條太郎(「パニック障害」最新医学社、竹内龍雄編集)76頁。