精神医学・「自己洞察瞑想療法」

外傷後ストレス障害(PTSD)

PTSDの人ほど脳が萎縮

 =東北大による調査

 被災した学生の脳は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の傾向のある 人ほど、脳が萎縮していた。 東北大による調査でわかった。萎縮していたのは、「前帯状皮質」と 「眼窩前頭葉皮質」であるという。
 「眼窩前頭葉皮質」は、感情の制御や恐怖の記憶を消す働きに関わるという。 こういうことが確認されたのは、始めてという。
 「前帯状皮質」は、トラウマの記憶と消去に関わる。
 従来、PTSDの人は、海馬が萎縮しているという報告があった。それ が、外傷前からあったのか、外傷によって萎縮したのかどうか定説になっていない。
 今回の調査では、眼窩前頭葉皮質が外傷によって萎縮したことが確 認された。「前帯状皮質」も小さい。うつ病は、背外側前頭前野が萎 縮しているようだ。
 うつ病も、PTSDも、心理的なストレスによって脳に障害をひきおこ して発症しているようだ。改善するためには、そういう脳の障害が神経生 理学的に回復しなければならないことを示唆している。薬物療法でも 、心理療法でも、そういう強力な回復をもたらすものでなければなら ないだろう。
 マインドフルネス心理療法の自己洞察瞑想療法(SIMT)でも、PTSDが 回復する。そのトレーニング法は、呼吸法を中核として、意志作用を繰り返し訓練するのである が、不快な症状や感情については、それが起きても、衝動的な行動、 思考に移らず、そのまま観察する、従って行動を抑制している訓練をする。 それが、背外側前頭前野の部分を使うことで、うつ病が回復すると推 測している。しかし、眼窩前頭葉皮質の部分も反復使用するのかもし れない。自己洞察瞑想療法(SIMT)のそういう効果についての研究をし たいものである。装置がないからできない。
 「前帯状皮質」がマインドフルネス心理療法の訓練で回復するのは 、不快な意識現象を無評価で観察する訓練が、 「前帯状皮質」に刻まれたトラウマに、危険ではないという新しい記 憶が刷り込まれることで、PTSDが回復すると思われる。 非定型うつ病には、PTSDの症状に似た「悪夢」や「フラッシュバック 」がある。訓練を重ねるうちに、そうした症状が軽くなる。