「自己洞察瞑想療法」の方法(概要)

対人恐怖(表情恐怖)

 対人恐怖症として、赤面恐怖、視線恐怖、表情恐怖、あがり症、などがある。  ここは、「(B)表情恐怖」について述べる。

対人恐怖(表情恐怖)

表情恐怖の症状

 表情恐怖には、次のような特徴がある(3)。

赤面恐怖から表情恐怖に移行

 赤面恐怖段階が背景化して、表情恐怖段階に移行する、と内沼氏はいう。

マインドフルネス心理療法で治す

 「表情恐怖」を、マインドフルネス心理療法ではどうやって治していくかは、基本的には「視線恐怖」に記した方針である。
 「表情恐怖」の場合には、人と会っている(前や周囲に人がいる)にもかかわらず、心では、その相手のことを見なくなり、会話の内容を聞き取ることも軽視して、患者の意識は、「自分の表情」を想起して、想起して無ざまに思う自分を嫌悪する、それで動揺するという複雑な動きをしている。これは、視覚・聴覚という直接経験を軽視して、「自分の表情を観念する」という思考と、それに関連して起きる感情を嫌悪している。意識が、現実の直接経験ではない観念上の「自分の表情」にとらわれる。仕事や会話という肝心のことに注意を向け続けず、注意が自分の表情に関する思考、感情に向かってしまう。

 直接経験を重視することを軽視して、自分の表情に関連する思考・観念に移ることを全般的に抑制すること(=直接経験を重視すること)、個人的な経験について是非善悪の評価せずに観察することを心がけていくことが、表情恐怖を治す方針となる。呼吸法、運動、日常生活行動の中で、注意集中法、不要機能抑制法、徹底受容法などを訓練する。
 日常生活の中で、常に、直接経験に注意集中を重視することをこころがけて、自動思考への抑制につとめて、自分の表情への注意も解放して、建設的な行動に注意を向けるように努めることで、治していく。

(注)