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自殺防止のために(4)=10の共通心理を理解する
4.自殺に共通するストレッサーは、心理的要求が満たされないことである。
「自殺の中心にある心理的な痛みは、満たされず、妨害され、抑えつけられた心理的要求によって、引き起こされ、さらに増悪させられている。自殺とは、非現実的な行為としてではなく、満たされない要求に対する反応ととらえると、もっともよく理解できる。」
<どのような心理的な要求があるか>
卑下、達成、所属、攻撃、自律(自由、解放)、反作用(対抗策、失敗の乗り越えなど)、防御、服従(他者の影響下に入ることを切望)、優越、露出(他者から見られる、など)、危害回避、恥辱回避、不可侵、慈愛(他者に与える)、秩序、遊び(楽しい活動など)、拒絶(離れたい、など)、感覚性(快感)、養育依存(与えられる、守られる、支持者、など)、理解(疑問を質問し回答を得たい、など)
<そこで、支援方針>
「もしも、満たされない要求に焦点を当てることができれば、それが引き起こしている痛みは和らぎ、自殺は起きないだろう。精神療法家の仕事は、患者の急性の不快感を和らげて、居心地のよさを高めることである。」
「ほとんどの自殺にはさまざまな心理的要求が互いに関連しあっているのだから、ある特定の自殺の症例を適切に理解するには、複数の要求について検討しなければならないだろう。多くの無目的な死があるが、不必要な自殺は存在しない。もしも、満たされない要求に焦点を当てることができれば、それが引き起こしている痛みは和らぎ、自殺は起きないだろう。」
(「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)39頁)
心理療法者や周辺の人(家族、教師など)は、自殺しかかっている人の不快感、満たされない要求が何かをあきらかにする必要がある。不快感、満たされない要求は複数ある。たとえば、「いじめられ自殺」の場合、「危害回避」「恥辱回避」「所属」「防御」などの直接の要求が満たされないことがあり、周囲の支援としての「養育依存」がないと、自殺に至るかもしれない。
薬物療法を受けても治らない「うつ病」から、自殺に至るのは、直接的な「満たされない要求」があるほか、もはや、薬物療法の医者も「養育依存」を満たすことができず、周囲に支援がないという状況にあるだろう。どのような状況が、満たされていないのかを把握して、深刻な不快感を和らげると、自殺を防止できる。
不就労による悩みには就労支援、育児不安には育児の支援、貧困には経済的支援、介護うつには、介護負担の軽減、などの社会的な支援対策が必要であるのは当然である。