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自殺防止のために(5)=10の共通心理を理解する
5.自殺に共通する感情は、絶望感と無力感である。
「自殺の危険が高い状態では、無力感や絶望感に圧倒されている。「(自殺する以外に)私にできることは何も残されていない。(私が苦しんでいる痛みを和らげるように)助けてくれる人は誰もいない」と感じている。敵意、自責、恥といった感情が無力感や絶望感の根底に潜んでいる。」
<そこで、支援方針>
「極度の致死性を下げるもっとも有効な方法は、無力感や絶望感が重要な位置を占めている、極度の焦燥感を和らげることであろう。」
(「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)39頁)
無力感や絶望感は、主な2つに分解できる。無力であるという思考、絶望であるという思考(「不快思考」と呼ぶ
)と、その思考によって生じる「つらい感情」(「不快感情」と呼ぶ)である。さらに、急激な感情に遅れて感じる「気分の悪さ」(「不快気分」と呼ぶ)もある。重症のうつ病患者には、うつ病に特有の「抑うつ気分」がある。認知行動療法ならば、認知(思考)や行動を修正するよう助言して、その結果、つらい感情を軽減させるという方針を持つ。薬物療法は、思考、行動には全く焦点を当てず、ただ、薬の作用で感情を軽減させようとしていることになるだろう。心理的な無力、絶望があれば、もぐらたたきのようになるだろう。
マインドフルネス心理療法(自己洞察瞑想療法)では、呼吸法や生活行動の中で、感情そのものを緩和させる注意集中法、解放、受容、注意転換などを訓練して、感情を直接緩和させる技法がある。また、認知の修正、認知(「不快思考」)を解放する技法もある。こういうことを通して、不快感情を緩和できれば、自殺のリスクは下がる。社会的な支援がどうしても必要であることは多いbが。
教師や級友、家族も、誰かが、苦しんでいる時は、このような「感情」に圧倒されているのだから、緩和する手助けをしなければならない。軽くみて支援しなかったり、叱咤したり、放置したり、言葉の暴力で、さらに感情を強めてしまうと、自殺が実行されてしまうおそれがある。