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自殺防止のために(6)=10の共通心理を理解する

6.自殺に共通する認知の状態は、両価性である。

 「たとえば、愛情と増悪といった感情を同じ人物に向けるといった、互いに矛盾する感情を同時に抱く心理的現実を「両価性」( ambivalence )と呼ぶ。
自殺をしなければならないと感じると同時に、救済や介入されることを切望(あるいは計画することさえ)するのだが、こういった態度は自殺にはよく認められる。」

<そこで、支援方針>
 「精神療法家はこの両価性をうまく使って、時間を稼ぎ、患者が銃を発射する代わりに、感情を発散させるように働きかけていく。」
 (「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)41頁)
 死にたいという気持ちと生きたいという気持ちも同時にある。救済されないと思いつつ、救済を求めている。生きたい、救済してほしいという気持ちがあるから、周囲が手をさしのべれば、不快な感情が和らぎ、自殺を思いとどまる。この間に、恒久的な救済への支援をすれば、自殺しないですむ。いつも、「両価性」で生きているから、いつ衝動的に実行してしまうかもしれないから、自殺念慮を抱く人をみつけたら、生きたい、救済されたいという気持ちに働きかけて、時間をかせいで、種々の選択肢があることに気がつくように支援する。