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自殺防止のために(8)=10の共通心理を理解する

8.自殺に共通する行動は、退出である。

 「「退出」あるいは逃走は、苦痛に満ちた場所から意図的に立ち去る行為である。自殺は究極の退出であり、それに比べれば、家出、退職、軍からの脱走、配偶者を捨てることなどは他愛のないものでさえある。」

<そこで、支援方針>
 「精神療法家は患者に、他の方法、他の出口を示す必要がある(精神療法家や、患者にとって親しい人は、たとえば、銃を取り上げることによって、致死性の高い出口を閉ざす必要もある)。この概念は、患者の心理的視野狭窄を和らげることと大いに関連している。」
 (「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)42頁)
 自殺は、痛みのある生きる場所からの完全なる退出であるが、完全な退出ではなくて、この世の別な場所、一時的な退出が選択されるべきである。本人は、思考判断力がおかしくなっているので、冷静な人の支援で、別の方法をとることができる。上司、同僚、教師や親が視野狭窄で、事態を緩和してくれなければ、死ぬこと以外の逃走を企てればよい。不登校、退職、家出、施設へのかけこみ、親戚への逃避、別居、離婚、なども選択肢である。本人はうつ病の症状で視野狭窄となっているから思いつかない場合もあるので、とにかく、誰かの救済を求めることが必要である。そういうかけこみ場所を教えておくべきである。
 学校でのいじめは、対策がとられていっても、加害側の子の父兄のエゴによりストレスをかかえて不満を発散するためにいじめをする子、支援しない教師が出てくるのを避けられないから(すべての生徒、教師、父兄が完全なる人格者になることは考えられない)、自殺という完全な退出でなくて、別の逃げ場所を用意して、子どもに知らせておくべきである。自宅で自殺する人もいるので、自宅に帰すのが得策ではないこともあり、各地区で事前に、自治体と、NPO、カウンセリング所、民生委員などが協定を結び、第一の相談所、宿泊での受け入れ先、カウンセリングを決めておくのもその一つである。