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自殺防止のために(10)=10の共通心理を理解する

10.自殺に共通する一貫性は、人生全般にわたる対処のパターンである。

 「自殺は人生に前例がない出来事のように見える。しかし、人生全般にわたる対処のパターンには深層心理に一貫性を認める。」

<そこで、支援方針>
 「精神療法家は、患者が極度の焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇といった出来事を以前にも経験したことがなかったかを検討し、心理的痛みに耐える能力や、人生で問題から逃避するパターンはどのようなものであったかを見きわめる必要がある。」
 (「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)42頁)
 自殺は、急な出来事のように見えるが、人生のかなり初期のうちから兆候、反応パターンがあるようである。将来、もっと大きなストレスを受けたら、深刻なうつ病になるかもしれないな、と思わせるような反応が、人生の早い段階にあるようだ。苦悩に耐える能力、おそらく、思考、感情の抑制能力、不安、傷つくのを恐れて逃避、解決にならないまぎらし行為への依存、親への依存、こういう繰り返されるパターンが、若い頃からあるかもしれない。若いうちに、うつ病にかかる人もいる。自殺のリスクが高い障害に、早期にかかる人は、人生の後期においても、自殺したくなる危機を迎えることになるリスクは高いというのであろう。
 こういう傾向があるのであれば、そういう傾向のある人は、焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇不安、不満、怒り、傷つくおそれといった出来事を処理する方法、心理的痛みに耐える能力や、人生で問題から逃避しないパターンなどを、若いうちから、向上させた方がいいのであろう。学業や身体運動には、力を入れているが、うつ・自殺にならない心の鍛錬も、若いうちに、習得しておいたほうがいいのだろう。自殺は、社会問題で予防できる側面もあるが、ここに指摘されているように、個人の「焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇といった出来事」を処理する能力、心理的痛みに耐える能力や、人生の問題から逃避するパターン も影響するようである。親は、子どもの、こうした生きる心の能力の向上に、もっと真剣になってもいいのではないか。有名校に行っても、大企業に勤めても、金持ちになっても、名声を得ても、思いどおりの職業についても、幸福な結婚をしても、−−−になっても、わが子の自殺のリスクを減らすために。
 ここで、指摘されているように、心理的痛みによる自殺の心理は、薬物療法だけでは、とても、救済できそうもない。医療以外の救済支援、および、社会的な支援対策を強化していくべきだ。