うつ病と自殺
完治しにくいうつ病
うつ病は、治療(薬物療法、心理療法)すれば、寛解、または、完治にいたる人が多い。しかし、薬物療法による場合、完治したというわけではなくて、脆弱性が残っている(前頭前野などの機能が回復していない)と言われて」いる。薬物療法で治った人でも、60%くらいは、再発している。その後も、再発を繰り返す人も多い。
自殺の危険があるうつ病
うつ病はやっかいな症状がある。自殺である。群馬大学の大嶋明彦氏の調査では、うつ病の患者の78%に「希死念慮」があり、56%に「自殺念慮」があったという。実際に、自殺をしてしまうのが、10〜15%だろうという(1)。
だから、うつ病になったら、長引かせずに、早期に心理的な介入を開始した方がよい。うつ病になって、薬物療法だけで治った人は、心理的な対処法を学ぶことが再発防止になるのは、明らかである。
こういう事実が現実であるから、うつ病を治す、完治させるということが「自殺防止対策」の重要な柱の一つである。
薬物療法だけでは、6割が再発するのであるから、薬物療法のみを宣伝、教育するのではなくて、心理的な予防法や治療法(心理療法)、他の支援対策が重視されなければならない。
- (1)「うつ状態再発の予防と早期発見」群馬大学、大嶋明彦(「こころの科学」125号、特集「うつに気づく」、2006/1、日本評論社、76頁,79頁)