自殺は防止できる!ー自己洞察瞑想療法入門

うつ病を治せば自殺を防止できる

第1章 自殺が減少しない理由と対策
第2章 うつ病はどういう病気か
第3章 うつ病を治せば自殺は防止できる
第4章 読者自身でうつ病を治す
第5章 パニック障害を治す

第2章 うつ病はどういう病気か

第1節、うつ病の症状
 うつ病の治療法は、第1章で述べたように、薬物療法や心理療法がある。しかし、種々の事情から、うつ病が治らないで、苦しんでいる人が多く、その一部の人が自殺していくのが現状である。少しでも、自殺を減少させるために、新しい対策を提案したい。
 まず、うつ病について、理解したい。うつ病には、次の症状がある。
第2節、発病における心理的要因
 うつ病やパニック障害、広場恐怖には、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法があり、かなり多くの人が治る。だが、そういう薬物療法がきかない人や副作用で薬物療法を受けられない人などがいて、うつ病が長引いて、自殺する人がいる。他の療法で治らなかった人でも、うつ病の治癒、自殺防止に、呼吸法や自己洞察法(坐禅に似ているが内容が異なる)を実行すれば、うつ病やパニック障害などが軽減したり、治癒することがある。  なぜ、心理療法(マインドフルネス心理療法を含む)で治るのかは、その発病過程や病気の維持に心理的要因が大きく作用しているからである。
 なぜ、うつ病になるか、その発病経過については、厚生労働省「自殺予防に向けての提言」は、こういう。  うつ病は、何か人生上の大きな出来事(ライフイベント)があった場合に、そのストレスをうまく対処できないで発病することが多い。死別、離婚、両親の不和、いじめ、失敗、退職、人事異動、過労、ひっこし、出産育児、事故、重篤な病気(がんなどの身体の病気やパニック障害、対人恐怖などの心の病気を含む)などがそういう例である。こういう出来事があると、ストレスになることが多くて悩むとうつ病が発症する。健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題から、うつ病を発症して、適切な治療をしないと自殺するのである。自殺の減少という問題には、「うつ病」の視点を欠くことができない。

(注) (1)厚生労働省「自殺予防に向けての提言」1章2節2。

 うつ病は、種々の出来事をきっかけとして発病したり、慢性的な不満の心理が継続して発病するが、心理的には単純である。自己、世界(家庭、学校、職場など生きている環境・条件)、将来に対して否定、嫌悪する心理である。
第3節、病気を維持する心理的要因
 固定観念や認知のゆがみがあるために、うつ病になり、うつ病になってからの回復を遅らせる。うつ病になってからは、自己、世界(家庭、学校、職場など生きている環境・条件)、将来に対する否定、嫌悪が一層強化される。病気前とは異なる自己、世界、将来の否定、嫌悪に変化する。また、感情や行動がくりかえされる背景には、脳内に過敏な部分や機能低下の部分が生じている。
 うつ病を治すには、認知を修正する必要があるというのが、認知療法である。マインドフルネス心理療法は、反応パターンを変えるという。

第3章 うつ病を治せば自殺を防止できる

第1節、自己洞察瞑想療法の内容
 うつ病やパニック障害、広場恐怖は認知行動療法での治療が行われているが、自己洞察瞑想療法でも治療できる。うつ病の発病や維持に、自動思考や固定観念などの心理的要因が深くかかわっているので、呼吸法を用いて、思考や行動を抑制するスキルを探求して苦悩を解決する自己洞察瞑想療法でもうつ病を治療することができる。
第2節、自己洞察瞑想療法でうつ病を治す
 次の目次の中に、うつ病やパニック障害などについての記事があります。

第4章 読者自身でうつ病を治す

 うつ病は、薬物療法で軽くなるが、この読者の方は、それを試みても治らなかったとか、再発した人かもしれない。そういう人も、今、薬物療法を受けている方も、実行してみていただきたい。そうすれば、気分が好転するから、自殺を思いとどまり、厳しい状況の中であっても冷静に考え、力強く生きていってくださるだろうと思う。
 また、自己洞察瞑想療法を実践できなかった人は、もう一度、薬物療法を受けていただきたい。新しいうつ病の薬が、次々に開発されているから。また、うつ病に詳しい臨床心理士をさがして、カウンセリングを受けていただきたい。
 (記事が多くて、わかりにくいでしょう。次の記事を参照して実行してください)

おわりに

 第三章に述べた自己洞察瞑想療法は、呼吸法を用いた手法であるので、精神科医や臨床心理士などの心の病気の専門家でなくても、ボランティアが十分習得可能であるから、全国のボランティアの方が、習得して、近隣のうつ病の方、自殺念慮を持つ方に教えていただきたい。
 政府も自殺減少の対策を開始しているが、それが効果をあげると思う。しかし、その実現には時間がかかりそうである。また、僻地医療の問題もあるように、うつ病、自殺念慮を<治す>ことができる専門家が、隅々まで配置されるとは期待できない。政府主導による対策ばかりではなくて、全国のボランティアで、うつ病を治し、自殺防止に貢献するNPO活動を起こしていただきたいと思う。特に、薬で治らず長引いている患者の家族が活動されることを期待したい。
 もう一つ、期待したいリソースがある。仏教の僧侶である。自己洞察瞑想療法は、インドの初期仏教の実践と類似している。日本の仏教教団は、多くの宗門に分派したが、基礎には、釈尊の仏教があるはずである。自己洞察瞑想療法は、坐禅(初期仏教では、正念、正定などを含む八正道と言われた)に似ているので、医者や臨床心理士でなくても、坐禅に理解のある僧侶ならば、簡単に習得できる。宗門の檀家離れ、僧侶の在家教化に対する自信喪失が聞かれる。宗派意識を離れて、仏教僧が、この心理療法を習得して、社会貢献していただきたいと願う。寺院には、療法実施に必要な会場を持ち、宿泊施設もある。寺院は、全国すみずみにある。もし、僧侶が、この心理療法を理解し、ボランティア精神(それが、大乗仏教で協調された「慈悲」ではなかろうか)で、うつ病、自殺念慮で苦しむ人々の支援をすれば、日本から、うつ病者が減少し、自殺者が激減すると期待される。
 さらに、もう一つ重要なリソースがあることを強調したい。自殺したくなるほど苦悩した人、自殺未遂の人、そのような人が、この心理療法を推進するボランティアになっていただきたい。自殺せずに、この療法で治癒し、今後は、うつ病で悩み、自殺しようとしている他の人の支援をしていただきたい。そういう人こそ、他者の苦悩がわかり、支援できるに違いない。
 自殺しないで下さい!
第1章 自殺が減少しない理由と対策
第2章 うつ病はどういう病気か
第3章 うつ病を治せば自殺は防止できる
第4章 読者自身でうつ病を治す