精神科病棟の一部、退院支援施設に=厚労省方針

 厚生労働省は24日、精神科病院の一部を「退院支援施設」に転用することを認める方針を決め、自治体の担当課長会議で示した。グループホームと並ぶ社会復帰に向けた福祉施設と位置づけている。

 退院支援施設は、精神科を退院した患者が入り、2〜3年間の生活訓練や就労支援を受ける。病院の敷地外であれば定員は20〜30人で、原則として個室が用意されるが、病棟を転用する場合、定員は20〜60人で、4人部屋も認められる。

 今年4月に施行された障害者自立支援法では、各自治体が「障害福祉計画」を定めて、グループホームやホームヘルプサービスを整備し、障害者が地域で暮らせるノーマライゼーションを進めるとしており、厚労省は、退院支援施設を自立支援策と位置づけている。
 しかし、障害者団体からは、障害者を見かけ上「退院」させるだけで、社会的入院状態とあまり変わらない新施設では、計画通りに障害者の自立が進まないのではないかとの懸念の声があがっている。  大阪精神医療人権センターの山本深雪事務局長は「海外の事例からも、病院施設内での自立訓練はあまり効果がないことがわかってきている。医師の監視から離れ、地域社会の中での自立を促すべきだ」と話す。 ( 2006年08月24日 asahi.com )


 精神障害者の支援対策の一つ。うまく、自立を支援できれば、自殺防止対策にもなる。社会復帰がすすまなければ、また、うつ病が再燃して、自殺するおそれがある。家族の苦悩も大きい。

 全国の精神科に入院している患者は約32万人で、そのうち約6万9000人は地域社会の受け入れ態勢が整っていないなどの理由で入院を続けている「社会的入院」とされる。厚生労働省は12年度までに社会的入院を解消することを目指している。
 「ただ病院を「退院」して新施設へ移っても、実質的には社会から隔離された入院状態が継続する可能性があり、障害者団体は「看板の掛け替えに過ぎず、自立を遅らせる」と反発している。」との声ものせている。
 たしかに、同じ施設内では、病院関係者の監督下におかれて、自由な活動がむつかしいだろう。
 ここで、何をするか、ソフトの充実が重要だ。地域が支援したくても、施設がないために、できないこともある。精神病院主導ではなくて、自治体、家族、地域の NPO、企業などの主導、連携で、ソフトの充実をはかっていく。