ニートに「発達障害」の疑い=厚生労働省の就労支援の見直し方針
 =心の病気によるニートも配慮を

 仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない15〜34歳の若者を指す「ニート」について、厚生労働省は就労支援の内容を見直す方針を決めた。

 ニートの一部に、「発達障害」の疑いのある人が含まれていることが、同省の調査で判明したため。実態をさらに把握したうえで、支援機関に心理などの専門職を配置するなど、きめ細かい支援のあり方を検討する。

 調査は今年(2006)6月、首都圏などにあるニートの就職・自立支援施設4か所を選び、施設を利用したことのあるニートの若者155人について、行動の特徴や成育歴、指導記録などを心理の専門職らが調べた。

 この結果、医師から発達障害との診断を受けている2人を含む計36人、23・2%に、発達障害またはその疑いがあることがわかった。

 発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で、自閉症や注意欠陥多動性障害などが知られている。コミュニケーションが苦手なことが多く、就職の面接試験で失敗を重ねたりするが、就職して存分に能力を発揮することも少なくない。

 調査では、「人との距離感が分からず、顔を必要以上に近づける」(26歳男性)、「その場の空気が読めず、じっとしている」(20歳女性)などのコミュニケーション問題や、「口頭の作業指示では理解できず、実演が必要」(16歳男性)など、発達障害特有の行動が確認された。

 発達障害がある場合は、作業訓練のほか、援助者の確保や同僚の理解促進など、働く場の環境整備が中心となる。具体的には、福祉機関などと連携して個別の支援計画を作ったり、企業を啓発したりすることが求められている。

 発達障害者の就労支援に取り組む大妻女子大の小川浩教授は、「ニートの支援には、職業体験など、発達障害者にも役立つものもある。だが、社会性やコミュニケーション能力を高めるため、『頑張ればできる』という発想で訓練するのは、発達障害者には強度のストレスとなり、うつなどの二次障害を生じさせる」と指摘している。(2006年8月24日 読売新聞)
 広義のニートの中には、種々のタイプが含まれている。ニートの就労支援では、一般的に、規則正しい生活を送る訓練や、企業での就労体験、資格取得の勉強などが行われているが、発達障害がある場合は別の対策が必要である。
 さらに、ニートの中には、うつ病や不安障害の人がいる。だから、こういう人には、別の支援対策が必要である。こういう人は、薬物療法を受けたことがあって、効果がなかった人が多く含まれているので、心理的なカウンセリングを中心とした支援が必要でだろう。
 自立支援塾に行く前に、どのようなタイプであるのか、鑑別してから、適切な支援施設に行かないと、本人のストレス・失望、家庭の費用負担、税金の負担の問題が生じるだろう。

発達障害治療が前進

 =大阪大と浜松医大、研究センター設立 

   学習障害や自閉症といった子供の発達障害が起きる仕組みを解明しようと、大阪大と浜松医大などが連携して「子どものこころの発達研究センター」を設立、診断技術や治療法などの開発に向けた取り組みを始めた。

 大阪大は、発達障害を起こす遺伝子やタンパク質を特定して解析を進め、モデル動物を使い診断技術の開発を目指す。睡眠時間やストレスが及ぼす影響も調べる。

 浜松医大は脳画像による分析を進めるほか、中京大などとともに、幼児や児童と家族に面接やアンケートをする疫学調査をして、早期発見につながる診断方法の開発に取り組む。

 両大学は発達障害の子供を支援する地域のネットワークづくりも進める。 (2006.07.31 産経新聞HP)
2006.07.31 産経新聞 ■発達障害治療が前進  -------------------------------------------------------------------------------- 大阪大と浜松医大、研究センター設立     学習障害や自閉症といった子供の発達障害が起きる仕組みを解明しようと、大阪大と浜松医大などが連携して「子どものこころの発達研究センター」を設立、診断技術や治療法などの開発に向けた取り組みを始めた。  発達障害は脳の機能障害とされるが、未解明な部分も多い。  大阪大は、発達障害を起こす遺伝子やタンパク質を特定して解析を進め、モデル動物を使い診断技術の開発を目指す。睡眠時間やストレスが及ぼす影響も調べる。  浜松医大は脳画像による分析を進めるほか、中京大などとともに、幼児や児童と家族に面接やアンケートをする疫学調査をして、早期発見につながる診断方法の開発に取り組む。  両大学は発達障害の子供を支援する地域のネットワークづくりも進める。