うつ病デイケア長期患者に効果=沖縄

 長期のうつ病に苦しむ人のため、沖縄県総合精神保健福祉センター(仲本晴男所長)が2005年8月から行っている「うつ病デイケア」が効果を挙げている。12週(3カ月)を一期としてこれまでに三期が開かれ、修了したほとんどの人で症状が改善。修了者による自助グループができるなど、サポート態勢が広がりつつある。
 同センターによると、〇五年八月のスタートから三十五人が参加し、二十八人が修了した。内訳は男性十五人、女性十三人で平均年齢四十一歳。治療期間は平均五年だが、なかには十年間治療を続けている長期のうつ病患者もいた。
 うつ症状を数値で示す「客観的評価」「自己評価」では、九割以上の患者で症状が改善。デイケア開始前は「最重症」の患者が、三カ月後には「寛解・正常」まで改善した人もいた。〇六年五月には修了者による自助グループ「グローバル・ハート・ブレイン」ができ、月に一度の集まりで互いの考えや思いを話し合っている。
 うつ病デイケアは、認知行動療法(CBT)を取り入れた全国でも数少ない取り組み。否定的な考え方や行動を前向きに修正するトレーニングを行い、再発防止や前向きな行動パターンの確立が目的。
 一期のプログラムでは週に一度、講師による講習や気功、料理などのデイケア活動、ホームワークなどを行い、効果を高めている。仲本所長は「長期のうつ病患者を診察してきた地域の精神科医が効果に驚き、講習を見学することも多い。今後は企業関係者にも広げたい」と話した。
 認知行動療法を取り入れた県総合精神保健福祉センターの「うつ病デイケア」がこのほど、日本うつ病学会で第一回奨励賞を受賞した。 (2006年7月27日 沖縄タイムス )
 薬物療法ではなくて、心理療法によって、長引くうつ病を治していくという画期的な試みです。認知療法だけではなくて、行動療法、行動活性化的な技法がとりいれられているのが、特徴です。こういうことが全国で行なわれるべきです。長引くうつ病は、薬物療法に反応しないのですから、心理療法で治すべきです。
 なお、アメリカでは、さらに、心理療法が発展しており、認知療法では治らないうつ病があるが、マインドフルネス技法を取り入れた心理療法が効果を発揮していますので、こういうセンターでも、そういう療法をも、実施すれば、もっと、治癒率があがるはずです。マインドフルネス技法は、パニック障害にも効果があります。
 前頭前野やセロトニン神経が衰えてしまった患者の場合、認知療法だけでは、回復しにくい場合があります。行動的技法が、効果がある患者もあります。いずれにしても、薬物療法によらずに、心理療法の方が、長引くうつ病には効果があるということがわかってきた、好例です。今後、うつ病の改善、自殺防止は、薬物療法だけではなくて、心理療法を展開すべきです。
 アメリカでは、うつ病を心理療法で治すことが常識ですから、日本も早く追いつくべきです。そうすれば、うつ病によるひきこもり、自殺が減少するでしょう。