医学生:へき地・町村部に勤務希望、わずか18%
- へき地や町村部は医師不足であるが、そういう地区を希望する医学生は全体の18%に過ぎない。
- 医師で自治医科大の高屋敷明由美さんらの研究グループが全国の医学生対象のアンケート調査をまとめた。
- 調査は03年9月〜03年1月に全国80大学医学部の1、4、6年生1万9,429人を対象に実施、1万3,975人を分析した。回答率は74%。
- それによると、全体の59%が「専門医」をめざすとしていた。
- また、このうち、20大学医学部の4,641人を抽出して分析したところ、
へき地勤務を希望する医学生は5%で、大都市32%、地方都市51%、町村部が13%。
(大田評)
人には、生存欲求がある。収入が多く見込まれる都市部に勤務するのを希望する医師が多いのは自然である。カウンセラーも同様であろう。医療心理士の資格が議論されているが、それが実現しても、やはり、同じ傾向であろう。うつ病や自殺を招きやすい疾患を治療する医師やカウンセリングするカウンセラーは、町村部には、赴任しないだろう。だが、うつ病、自殺は、そういう地区にも多い。だから、この問題は、そういう「専門家」に依存した対策では、十分ではない。地域に住む住人が、うつ病、パニック障害、自殺問題について対処できるようになららなければだめだと思う。狭い分野だけ学べばいいのだから、「専門家」でなくても、会得できる。
日本社会臨床学会運営委員の小沢牧子氏に「「心の専門家」はいらない」(洋泉社)という著書があるが、うつ病や自殺の心理は、予防が大切で、専門家の問題ではなくて、すべての人が、ふだんから心得ておくべきことである。教師や各組織の管理者が周囲の人の心理をよく理解していれば、うつ病を防止できることもある。発病したら、早く治すことが重要である。だから、遠くの専門家よりも、町内の住民や保健所職員、教職員、各組織の管理者など、どこの地区にもいる住民が中心となって活動すべきであるという意見も検討すべきである。そして、他者や専門家に依存せず、すべての人が、カウンセリング・マインドを会得すれば、自分の発病の予防や、他者をいじめたり、害することが減少するだろう。