地域に「かかりつけ相談者」を

   最近、うつ病、不安障害、暴力、ほかの心の病気、いじめ、自死、心中など痛ましい出来事が多くなっています。
 もし、ご家族がそういう兆候があらわれた時、早めによい対策をとれば、重症化しないですむでしょう。
 私も経験から働きざかりの頃は、自分の仕事と自分の心の崩壊を防ぐことでいっぱいであり、子どもや家族に悩みが生じても、充分にサポートする余裕もノウハウもなかった。働く人は、みな、そういう状況に近いでしょう。
 兆候があったのに、対策をとれないうちに、うつ病、不安障害が重症化していくおそれがあります。休学、不登校、ひきこもり、ニート、休職、退職にと大きくなっていくおそれがあります。
 こういうことを防止するために、自分たちだけで考えずに、近所の年配の人や近所の公的機関に親密な人、相談できる人を持っていることをすすめたい。特に、NPOなどで、悩み相談を受けてくれる人をもっているといい。「かかりつけ相談者」です。
 必ずしも、高度の専門的ノウハウを持っていなくても、一緒に考えてくれる、調べてくれる人がいるはずです。アメリカでは、カウンセラーが多く、すぐ、かかりつけのカウンセラーに相談する。日本では、そういう環境にないから、専門家でなくていいから「相談者」を持つといい。
 また、いじめや過労・セクハラ(大人の場合)などと不登校、休退職、自殺との因果関係を裏づけたいならば、悩みがひどくなった時点で(自死されないうちに)、医者にかかってうつ病かどうかの診断を受けること、さらに相談機関やカウンセラーのカウンセリングを受けて因果関係を分析してもらっておくといい。医者は忙しくて10分診療が多いから、因果関係を詳しくきいてくれる医者は少ないから、カウンセラーの意見を聞くのがよい。悩みを軽くするためのアドバイスも得られるでしょう。
 インターネットによる掲示板など、相手がわからないから、なきねいりしがちですが、警察ならば、発信者を調べることができるケースもある。いじめなどと、うつ病、PTSD、心身症とが関係があると、わかれば、自死されないうちに、警察に調査してもらうこともできるでしょう。うやむやにしておかずに、迅速な行動をとるのがいい。自分たちだけでは、智慧がまわらないおそれがあるから、相談したほうがいい。
 日本は、ストレスの多い社会となっており、うつ病、自死の種は、数多くおきるから、早いうちから、相談機関、カウンセラーを利用する習慣を持つのがいい。働く人は、忙しく、智慧もうかびにくいから、地域の人の支援を受けるのがいい。無策のまま放置しないほうがいい。
 その前段階の、地域の「かかりつけ相談者」を持つこともすすめたい。また、いのちの電話や、公的相談機関もたくさんある。困ったことが起きたら、重くならないうちに、相談するのがいい。1カ所でだめでも、ほかに相談するべきです。