報道にみるー苦悩の現場
- 医師の自殺が裁判で「労災」と認められた。
- 茨城県の病院に勤務していた医師(当時29)が、92年4月に、都内の病院に転勤した直後に自殺した。遺族が労働基準監督署を相手どり、遺族補償給付の不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決があった。「自殺は病院における業務に起因すると認めるのが相当」として、原告側の主張を認めた。
- この医師は89年10月から外科医として茨城県内の病院に務めていた。転勤までの30カ月間の平均休日が月1.5日で、時間外労働時間が月平均170時間に上っていた。
- 「病院での業務の心理的負荷が、うつ病を発症させる危険性を内在させていた」とした。
( 朝日新聞、2/23/2005 )
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医師のうつ病、自殺である。うつ病の治療は薬物療法が中心であるが、医師でさえも治らない場合がある。
うつ病は薬物療法で7割が治るといわれているが、うまく効かない場合もある。
この医師は「うつ病」であった。医師だから、うつ病に詳しい医者の薬物療法も受けていたであろう。それでも自殺した。
うつ病は、薬物療法で治らないケースもある。うつ病の啓蒙が盛んであるが、薬物療法中心である。薬物療法を受ければ治るという報道が多いが、そうとばかりはいえない。薬物療法で治らなくて、うつ病が長引くことも多い。だから、自殺が減少しないのであろう。うつ病のうち薬物療法が効かない場合の対策を急いでいただきたい。
また、医者は、うつ病を予防していただきたい。「お医者さんに効く! ストレス解消ハンドブック」(発行:じほう、監訳牛島定信、著者は、イギリスの心理学士)などを参考にして、医師は、自分や病院での労働環境を見直し、自殺することのないようにしていただきたい。
医師は薬物療法ばかりでなく、心理療法の研究をしてほしい。認知療法や自己洞察瞑想療法を、医学部において学んでおいて、自分が医者が自殺することを防止していただきたい。それは、臨床医学ではなくて、予防医学である。
医師の自殺は特に防ぎたい。うつ病は薬物療法で治るという原則論だけではなくて、薬物療法で治らない場合の治療体制を構築してほしい。