第3章
++++++++++
日本でなぜマインドフルネス心理療法が必要か


 日本で、うつ病、自殺が多いのは、社会の仕組みの問題(教育、貧困、勤務問題、介護支援不足など)もあるが、うつ病が治らないという医療の問題もありそうである。うつ病になって治療を受けないのは治らないかもしれないが、治療を受けても治らない人、再発する人も多い。
 うつ病になると、仕事ができない、対人コミュニケーションができない、意欲がないなどの前頭前野の機能低下により、社会生活を阻害することが多い。重症の場合には、頭が重苦しい「抑うつ気分」があり、特に、抑うつ気分が持続するとか、仕事ができないと、苦痛に耐えられず、自殺のリスクが高くなる。
 うつ病を治療するには、薬物療法、心理療法があるが、日本では、薬物療法が主流である。ところが、薬物療法で効果がない人、再発を繰り返す人がいて、治らずに、ひきこもりが長引く人、自殺する人がいる。
 治療法の限界と改善への見通しを簡単にみていく。

薬物療法の限界 認知療法の限界 マインドフルネス心理療法  以上のような理由から、従来、うつ病や自殺念慮の問題に支援できなかった人でも、マインドフルネス心理療法は習得することができて、全国の地域住民、NPO、組織の中に、マインドフルネス心理療法の推進者を育成することを検討する価値がある。
 また、このマインドフルネス心理療法の技法は、呼吸法やリズム運動が中心であるから、ラジオ体操、テレビ体操のように、地域や組織で、毎日、定刻に実践するようにすれば、うつ病の予防、自殺の予防に貢献するだろう。運動が織り込まれているので、運動不足による生活不活発病、生活習慣病、睡眠障害、要介護状態などの予防にも貢献すると思われる。
 地域住民、組織のメンバーの指導で、こうした実践が毎日行なわれるようになれば、ストレスによる種々の問題が改善され、予防されることが期待される。
- 41 -