室内でできる脳活性の腕指体操
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こちらの図が縮小していないもの
です。
室内でできる脳活性の腕指体操
篠原氏は、種々考案して紹介しているが、そのなかから、室内でもできる手や腕の体操
を抽出した。これを、カウンセリングで用いている。被災地の方の自律神経失調やうつ病
、不安障害などの症状を軽減する目的で実施してください。予防にも治療にも利用できる
。図のような「腕や指を動かす体操」を、30分程度、毎日、2〜3回行なう。ルールをしっ
かり記憶していて、この運動に注意を集中して行なう。一人でも、グループでも行なうこ
とができる。
- (1)指体操=左手の小指を立てて、右手の親指を立てる。次に、反対にする。
これを繰り返す。
- (2)一人じゃんけん=左手と右手でジャンケンする。「右手が勝つ」というル
ールで、何回か行なう。次に、「左手が勝つ」というルールでジャンケンする。
- (3)両手足し算=適当な数を思いうかべて、両手で、その数字になるようにす
る。グループで行う場合には、リーダーが数字を言い、他の人が手を動かす。
- (4)スリスリトントン=左手を前後に動かす。右手は、グーをして、上下に動
かす。両手を机の上か、ももの上で行なう。(空中でやるのは、きわめてむつかしい。)
- (5)グーパー=右手を前にだしてパー、左手は、胸元でグー。次に、
左手を前にだしてパー、右手は、胸元でグー。
- (7)両手図形描き=右腕は上下に動かす。左腕は三角を描く。両腕を同時に
動かす。数回行い、逆にして、また、数回行なう。
- (6)フリフリグッパー体操=(これは、指体操ではない。別の記事のとおり。
)
脳を活性化する腕指体操
被災地の人々は、震災直後から、種々のストレスによって、不眠やその他の身体の不調
を起こす人が多い。しばらく経過してからは、うつ病、PTSD、生活不活発病などがみられ
るが、早期から、種々の身体の不調がみられる。抑うつ、イライラ、不安、無気力などの
精神症状は、別に考察するが、同様の対策で改善する人もいる。
このような身体の不調は、うつ病や不安障害の人にも、みられるが、そこまで至ってい
なくても、初期の自律神経失調の症状も、行動活性化、呼吸法などで、改善がみられる。
そういう重い段階に至らない段階の上記の自律神経失調症状にも、効果がみられる。
- うつ病では、思考、創造、他人とのコミュニケーション、感情の制御、行動の抑制、
記憶のコントロール、意識注意の集中、などの機能が低下する。うつ病には、種々の身体
症状がある。自律神経失調のような症状がある。不眠や睡眠リズムの変調もある。
- アメリカでは、行動活性化療法( Behavioral Activation )がある。うつ病の治療に
効果があったという。運動だけでも、うつ病が改善する。
- 手足を動かす時に、前頭前野や運動野が動き、必要となる酸素やブドウ糖が血液によ
って運ばれる。手足を運かす時、前頭前野に血液が送られて脳機能が活性化することにつ
いては、諏訪東京理科大学の篠原菊紀氏などが研究している。
- 手足を運かす時に、前頭前野、運動野が関与する。あるルールにそって、手足を動か
す運動をしばらくと、前頭前野が活性化する。前頭前野のワーキングメモリ(ルールを記
憶しておく)、注意集中、手足を動かす指令、ルールと異なる動作をしたくなるのを抑制
している、などの精神作用をするために、前頭前野が活性化するためであると推測される
。これを毎日、行なう(他の技法も併用して)と、おとろえていた前頭前野が活性化して
、身体症状や精神症状が改善される。
- 篠原菊紀氏は光トポグラフィー装置で、いくつかの運動をしながら、前頭前野の血液
量が増加することを計測した。
- 東邦大学の有田秀穂氏の研究によれば、リズム運動をすると、縫線核セロトニン神経
が活性化する。
- こうした成果から、手足を動かしていると、前頭前野や縫線核セロトニン神経が活性
化して、ストレスによるうつ状態や自律神経の失調も改善されると推測される。
(参考文献)「ボケない頭をつくる60秒活脳体操」篠原菊紀、法研