悩み深いカルト宗教「信者2世」
- イギリス人女性がカルト宗教教団からの脱会体験を語る。
- 両親の影響で幼い時から特異な宗教団体の中で育った女性が来日して、脱会から社会復帰するまでの体験と苦悩について講演した。
- 倫理性からかけ離れた教祖一家の生活ぶりなどに幻滅して脱会。しかし、悩みが深まった。
- 11歳から15歳まで、教祖の国の言葉や文化を習うために両親と離れて韓国で暮らした。倫理性からかけ離れた教祖一家の生活ぶりなどに幻滅して、教団に疑問を感じた。
- 米国に移ってからは公立学校に通った。ほかにも誠実な信仰生活があることを知った。悩みはさらに深くなり、自殺も試みた。
- 22歳で脱会したが、苦悩が続いた。教えられた「サタンの恐怖」が消えず、「病気や死といった罰が自分や両親に起こるのではないか」と心配した。
- 後、たちなおり、結婚して、2児の親になった。
- 子どもには「信仰を押し付けるのではなく、自分で選べるように見守りながら育てていきたい。少なくとも、私の親のように、熱心すぎて家をずっと留守にしている、といった育て方はしないつもりです」と語る。
- 種々のカルトで育った「信者2世」を検証した「カルトの子」(文芸春秋、00年)を書いたルポ・ライター・米本和広さんは、こう語る。
- 「親が育児より宗教に重きを置くようになると、親と接触する機会を失った子どもは愛情欠乏症になる。攻撃的になる、情緒不安定、人間関係をうまく結べない、といった障害も起こりがちです。」
- 「親が自分の価値観を押し付けることは、子どもの人格をゆがめる。子どもにとっては心理的虐待であり、仮に脱会したとしても、社会に適応できないまま、後遺症となって、覚せい剤や酒やセックスに依存したり、過食症やうつ病になったりもします」
- 「親が自分の信仰や思想を語ることは当然だが、そこに「強要」があってはいけない。選択の余地を残した「説明」にとどめるべきだと思います。」
- 3/10/2003 朝日新聞
- 彼女が気がついたように、カルトの教祖や幹部は己れの欲望のために信者の心をあやつり、金と労働を奉仕させ、組織にみつぐ奴隷のような存在にさせる。
生活基盤を組織の息のかかった会社などにおかせて、精神的、経済的に組織に依存させ脱会が困難なようにする。
- 本来信仰は自由であるはずなのに、親が子どもにも同じ信仰を強要する。子どもは親とは別な人格であるから、信仰についても好き嫌いが異なるはずであるが、それを子どもに強要すると、信仰も、趣味も、職業も、その教団の指示に従わせられる。自由を望む人は、心が葛藤し、成長してから、こころに障害をひきおこすことがある。親のエゴイズムの犠牲になるのである。
- 仏教の学者は、カルト宗教を批判してほしいが、誠実な宗教を否定することがある。仏教は幅広く、カウンセリングのようなすばらしい部分までもあって社会貢献できるのだが、全否定するから、国民の仏教ばなれが起こり、悩みに遭遇した時、人は、カルト宗教にすがる。仏教学者、宗教学者は、誠実な仏教や宗教を否定するのはやめて、カルト宗教が成長する手助けをするのをやめてほしい。