カルトの被害防止

 カルトの被害にあう人は、何か現状に不満があったり、解決しがたい悩みを持っている。その不満、悩みを解決できるという甘い宣伝にだまされて、カルト集団に入っていく。いったん、カルト集団にはいると、マインドコントロールをかけられ、脱会できない心理になる。大きな金銭をつぎこみ、家庭に戻らず、集団に隷属して生きるようになる。家庭は崩壊する。
 だから、とにかく、カルトに家族が向かわないようにすることが大切である。そのためには、家族が何を不満に思い、何を悩んでいるかを親は把握していなければならない。育児や子どもの難病に悩む母親がいる場合、「子育てはお前(母)の責任だ。おれには仕事がある。」といって、妻の悩みを聞こうとしない夫では、妻があぶない。一人で悩んだあげく、心の病気になったり、そうでなければ、カルトの甘い誘惑にさそわれて、とんでもなく大きな犠牲(借金、家庭崩壊、家族の精神疾患の重篤化、時には、婦女暴行、殺害の被害にもなど)を払うことになる。
 子どもが悩むのも親が把握して支援しないと、子どもがカルトに入っていくかもしれない。夫婦間、親子間で、会話なし、不満、不和状態にあるのは、カルト被害への大きな因子である。
 こういうわけで、親は、家族全員の不満、悩みを把握して、支援する気持ちがあることを表明しておくべきである。家族の不満、悩みを把握する方法がわからなければ、対人関係療法でカウンセラーが助言することを、自分たちでやってみればいい。
 家族の不満、悩みがあることがわかれば、家族が話しあい、改善していく。もし、自分たちで改善できなければ、カウンセラーに相談すべきである。
 また、同じような問題を持つ人々の集まり、患者会などに参加するのもよい。とにかく、不満、悩みを解決できないままで放置してはいけない。そうでないと、カルトにはいる、心の病気が悪化していく、非行犯罪を犯すなどの悲しい結果におちいる可能性がある。
 問題は種々あるので、ある問題のカウンセラーを近くにさがすのは難しい。大勢の人が結集して地域に支援団体を作りたいものである。公的相談機関のスタッフは、それぞれの役割や時間に制約されて、十分な支援ができなかったことが、現状の悪化を招いているのもあるだろう。地域住民の活動が重要であると思う。