大学生=指導教官から「留年通告」されたゼミ学生自殺
=学校に自殺防止のとりくみが必要
群馬県の大学の女子学生(20)が1月(2007)に自殺した。大学は4月9日、ゼミで教えていた経済学部の男性准教授(38)が「理不尽で教育的配慮を欠いた留年通告をした」などとして懲戒免職処分にした。
報道によれば、大学生にしては、厳しい課題を課したため、できなかったことを学生は苦にしていた。大学側は「大学院生並みの厳しい課題。ある課題がこなせなかったというだけで即留年というのもおかしい」としている。
准教授は8月にゼミ学生に課題を出し、12月に提出していない女子学生ら3人に、「1月15日までに課題を出さないと即留年」というメールを送った。自殺当日となった同15日には、未提出の2人のうち女子学生だけに催促のメールを送っていた。
期限の1月15日夕、未提出の2人のうち女子学生だけに催促のメールを送った。女子学生は、自殺することを示唆するメールを返信した。女子学生はその夜、自殺した。准教授に2時間前に、最後に送ったメールには「出来損ないの面倒を見させてすみませんでした。お世話になりました。ゼミ楽しかったです」とあったという。
学生は、何かの悩みで、うつ病になっていったのに間違いないだろう。悩みは、課題ができなくて留年となる心配や准教授との人間関係か、それとも別の悩みかわからないが、うつ病になっていただろう。前頭前野の機能が回転せず、抑うつ気分などから、集中できず、思考が働かず、課題をいよいよできなくなる。「留年」という冷たい言葉が、自殺へのひきがねになっただろう。
その科目が必修であって、基準点に達しない場合には、留年になるのは、他の大学でもありそうだ。だが、この課題では、留年させるかどうかの基準が大学側と准教授とで食い違いがあったようだ。
大学は義務教育ではないが、教師が権力を持つ。学生は、批判できない。教育者は、学生の心のケアについても理解しておくべきではないのか。課題を提出できない場合、学生が怠慢による場合、自殺するほど悩むことはない。だが、怠慢でなくて、むつかしくて提出できない学生には、援助するのも教育者の責務ではないのか。言い方もありそうだ。もう少し、教育者は、学生の悩みに、配慮して、うつ病、自殺について理解してほしい。
メールの言葉には、自殺をほのめかす言葉が確かにあった。教師が、こういう言葉を理解して、適切な対策をとらなかったことが批判されている。
大学生の自殺もよくある。大学が、学生の心のケアのための相談体制を設ければ、このような自殺は防止できるかもしれない。教師は、教師の行動が生徒を自殺においこむ可能性のあること、兆候を理解して、即座に適切な対策をとることも、教えられておくべきではないのか。大学自体も緊急連絡網(教師→大学内の緊急事態担当・警察)を整備しておくべきだ。大学における職員への自殺予防教育が必要である。おいこまれた学生が、うつ病が深まり、死にたくなるほどになっていることが大学のカウンセラーに相談されていれば、課題が適切なのか、自殺されないうちに、調査が行なわれるだろうか(だが、教師に恨まれて不利な扱いをされる=パワハラ=ことをおそれて訴えない可能性もあるが)。課題が適切であっても、学生に自殺以外の生き方のあることを助言できるだろう。とにかく、うつ病になると、思考、判断が極端に損なわれる。教師は、それを理解しておくべきだ。
学生も、よき友人、相談者を持ってほしい。通常は、留年で、自殺することはない。心のケアがあれば、「うつ病らしいから治療を受けよう。困ったことがあれば、私も相談に行ってあげる。」といったり、他の選択肢があることを助言してもらえて、死なないですむはずだ。
家族も、大学生のわが子と月1回は、連絡をとるのがいいのだろう。また、うつ病についての勉強をしておいたほうがよい。