学校の先生はうつ病になる率が高い
=男性教師は抑うつ感、他職種の1.8倍
小中高校の先生は他職種より、ストレスを強く感じており、特に「抑うつ感」を感じている男性は1.8倍に上る。財団法人労働科学研究所(川崎市)が設置した「教職員の健康調査委員会」(委員長、清水英祐・東京慈恵会医科大教授)が、昨年11月に実施した調査でわかった。
- 教諭らを無作為に抽出し、2485人から回答を得た。「職業性ストレス簡易調査票」を使って、ほとんどの職種にまたがる約2万5000人の労働者が回答した標準値と比較した。
- 男性で「抑うつ感が強い」と回答したのは11.5%であり、標準値より1.8倍高い。
-
「不安感が強い」も1.5倍高かった。
- 女性は抑うつ感は、他の職種とほぼ同じだったが、不安感は1.3倍高かった。
- 抑うつ感の原因に注目。関連性が強いのは、心理的な仕事の負担感だった。「仕事量が多い」と感じている人は標準値と比べ、男性が2.2倍、女性が4.6倍。
- さらに、背景となる原因を探ると、学級崩壊などで児童や生徒の授業態度が変化し、対応が難しくなったことや、授業の準備時間がなかなか取れないことがある。
- 詳細は、asahi.com、 朝日新聞(10/13/06)をご覧下さい。
小中高学校の先生は、多くの子どもと接しており、大学のように、学科を教えることのほかの心理的負担が大きいので、うつ症状、不安が多くなる。まだ、診断がついていない段階での、病気や障害の子が含まれていて、授業が崩壊する。子の扱い方で、保護者がのりだしてくる。最近は、保護者の中に、激しい態度をとる者もいて、保護者から注意をしてもらう方法もできない。障害(注意欠陥・多動性障害など)による場合や、親にも問題がある場合には、簡単には、改善されない。いじめをする子、何らかの障害によって授業が受けられない子、こういうことは、対応がむつかしい。時間がかかる。かける時間がない。
他の組織ならば、下位の職位のものが処理できないことがおきたら、特別の他の組織や上司が処理に乗り出す仕組みになっているが、学校には、そういう仕組みが弱そうである。そのために、教師個人にすべての心理的な難問がいつまでも、のしかかっている。問題児を退学させられない公立学校の教師が特に、苦しむ。
「思い通りにならない」「つらい」という心理状態、思考(自動思考)が繰り返されると、抑うつ状態となり、思考判断力、創作力が衰えて、いよいよ、スマートに処理できなくなって、苦悩が大きくなり、ついに、うつ病となる。こういうのは、心因性うつ病だが、特に、先生の職業は、薬物療法だけでは治りくく、長引く。軽くなって、復帰しても、同じストレスが待ち受けるから、再発しやすい。それがわかるから、軽くなっても、復帰できない。そのまま、退職においこまれる。
誠実、まじめな人が、うつ病になりやすいので、次の世代の人間を育てる大切な教育現場で、こういう誠実な人がやめていくのは、いかにも、惜しい。対策をとってほしい。学級崩壊、授業崩壊になるような問題(子や保護者の扱いも)の扱いは、むつかしい事情(病気、障害、家庭の崩壊など)が背景にある場合が多いだろうから、そういうことを重点的に処理する役割を持つ教師、仕組みを作り、担任と協同で処理していくことが、教師のうつ病を、そして、教師の自殺を減少させるのではないか。そうして、教師のストレスが軽くなれば、学校における、いじめ防止の気配りを教師ができるようになって、いじめ、いじめられうつ病、いじめられ自殺も減少するだろう。