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遺族外来(家族ががんで死亡した遺族のうつ病回復支援)

 埼玉医科大学病院の精神腫瘍科の大西秀樹教授は、「遺族外来」を開設している。愛する人に死別される悲しみは、最も大きいストレスであり、遺族は、心疾患やうつ病やになりやすい。疾患による死亡率も高い。1年以内の自殺率も高い。
 そこで、大西教授は、このようなリスクを理解して、がんなどで配偶者などをなくした遺族が、うつ病などになった場合に、その回復の治療・支援をしている。
 遺族としての苦悩に対する相談と問題解決および支持が治療の中心である。配偶者、子どもを亡くして失意のなかにある方々が、他の親族から心無い言葉を浴びせられて、苦しむことがある。遺族外来では、遺族の話に耳を傾け、ご遺族が適切な判断を行うようにアドバイスをしている。
 大西教授は、現状の限界も述べておられる。
 がん患者が亡くなると、残された遺族の悲しみが大きい。死亡の悲しみのストレスが、心疾患をひきおこして死亡することもあり、うつ病になることもある。うつ病になって、自殺するリスクも高く、特に、男性が残されると、1年以内に自殺する割合が高い。さらに、残された遺族が、死亡の悲しみに続いて、孤独の生活からうつ病をひきおこすので、数年以上にわたって、うつ病になるリスクが高い。
 うつ病になると、自律神経は乱れ、免疫力は低下して、身体の病気も併発しやすいし、自殺のリスクも高くなる。  うつ病は、種々の出来事から起こるから、その出来事(産後うつ、育児、仕事ストレス、いじめ、がん患者、遺族、介護、人間関係の苦悩など)や職業(たとえば、教師のうつ、子どものうつ、医療関係者のうつ、警察官のうつなど)の違いによって、その助言や支援対策が異なってくるから、専門化したほうが、治癒率が高くなるだろう。
 そういう意味で、愛する人を亡くした患者に特化した遺族外来は、がんで愛する人を亡くした遺族にとって、大きなささえとなって、うつ病の回復に貢献するだろう。他の領域のうつ病も、ただ薬物を処方するだけではなくて、領域ごとに特化して、その領域のストレスを軽減する助言を加えれば、治癒率は高くなるだろう。その専門家が、その治療法を公開してけば、他の患者や医者、カウンセラーが学習できる。そういう研究がすすめば、うつ病の治癒率の向上、自殺の減少に貢献するのだが。