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がん告知・無神経発言で自殺=医師に遺族が慰謝料請求
- 肺がんを告知され、5日後に自殺。(55歳)
- 患者の遺族が、自殺したのは医師側が告知で無神経な発言をしたからだ、などとして病院と主治医を相手取り、慰謝料を求める訴訟を起こした。
- 男性は肝臓に腫瘍がみつかり、昨年9月6日に入院。
- 肺がんが転移していることがわかり、転院して手術することになった。家族は男性の心身の状態から告知に反対したが、主治医は「転院するには告知が必要」として、9月20日に家族立会いで告知した。
- 家族が「治療も良くなっているから大丈夫だよ」と男性を励ましていると、主治医は「そんなのはごく一部だよ」などと発言。
- その後も「車いすの生活になっても死ぬよりはましだろう」などと男性に話したという。
- 男性は告知から5日後、病室内で首をつって自殺した。
- 「原告側(遺族)は「告知には、患者に受容能力があり、医師と患者・家族に信頼関係があることなどが条件。家族が告知に反対する理由も考慮していたのか」と訴えている。」
- 「病院側は「手術後、車いすになるかもしれないと、主治医は責任上言ったかもしれないが、配慮を欠いた発言はしていない」と反論している。」
朝日新聞、6/01/2002
(評)
- 私の父ががんだとわかった時には、告知しなかった。しかし、アメリカでは告知が普通で、最近では、日本でも、告知する方向だそうです。
- しかし、告知には医者が患者の心理をよく配慮してすべきことは言うまでもない。なぜなら、告知直後に「適応障害」による自殺、それを克服しても、闘病中に悩み「うつ病」になる人もいて自殺することがあるというのは、医学界では常識であろう。
- 特に、がんになった人は、うつになりやすいために、その対策を研究するために「精神腫瘍学」という専門分野があるほどである。
- そうだとすれば、自分が「がんである」と告知されることは、現代でも、まだ、死に結び付けて考え、悩む人が多い、そして、急速に、適応障害、うつ病になり、自殺する危険がある。だから、告知する医者は、告知の後の患者の様子をよく配慮すべきであり、病院内で自殺させるのは、フォローが足りないようである。
- がんは、誰でも避けられないかもしれない。今は、医学界の方針として告知される方向であるから、患者の家族がいかに「告知するな」、と言っても、治療方針をたてるために、医師側から強く説得される可能性が高い。だから、患者側も、がんになったら告知されるだろうと思い、「心」の予防が必要となる。
- 「精神腫瘍学」があるくらいに、がんと宣告されるストレスは、他の悩みの中でも、死と結びつけやすく、非常に大きい悩みとなる。
- いつ大きな悩みが生じるかもしれない。普段から悩みに対処する心をつくっておきたい。問題解決に、自己洞察瞑想療法(SIMT)も大きな力を発揮するだろう。