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苦中にも幸せあり=ガンになっても
ガンにかかって、絶望し悩みもするが、その中でも、幸せを観る人、二人。
- (1)「今日一日を大切に」
ガンが再発、でも、「私はとても幸せ」
名古屋市の主婦、踊場峰子さん(44歳)
<苦悩>
- がんの手術後、昨年12月、発熱と強い痛み。「検査の結果は、骨への転移と肺への感染症。覚悟はしていたものの、私の唇はずっと震えたままだった。」
- 「私の命は、そう長くはないかもしれないという事実。身を裂かれるような不安とつらさ。」
- 「あれから半年ーー。家族の暖かい励ましに助けられ、ようやく心の落ち着きを取り戻すことができた。」
<苦悩の中でみつけた平凡な幸せ>
- 「今は、自宅で玄米菜食など自然療法の手当てを中心とした生活を送っている。ありきたりの日常をただなんとなく過ごしていたころとは、比較にならないほど、充実した毎日である。」
- 「太陽の光、季節のうつろい、木々の芽吹き、この大自然のもたらす何もかもが、私に大きな感動を与える。
すべての生き物が、今を精いっぱい生きている。
以前の私は、こんなにもそれらを慈しむ心を持っていただろうか。私の命も、この大自然の中で共に生かされていることを、忘れてはいけない。人間だけが特別ではないのだから。
今日一日を、大切に生きていこう。たくさんの優しさに包まれて、私はとても幸せ。」
- 朝日新聞、9/01/2002、「ひととき」
- (2)「夫のひと言に目覚めた一瞬」
ガンが再発、夫に死について話したら
「僕はそのときが来るまで考えたことがない」
相模原市の主婦、長谷川幸江さん(78歳)
<苦悩>
- 13年前、左胸の乳がんの手術。今度は、右に転移したガンを薬で治療している。
- 「朝に目覚めたとき、「ああ、今日も生きていた」と安心し、昼間に何となく体がだるく感じられると、転移したのではないかと悪い方へばかり考えてしまう。」
<死のことは、おまかせしよう、明るく過ごそう>
- 「84歳になる主人に死について話したら、
「僕はそのときが来るまで考えたことがない」とアッケラカンと言われた。
- 「主人は行動的な人で、スキーや山登りが好きで、今でも健康のためとゲ−トボールに参加している。」
- 「私よりも6歳も年上の主人から、死のことは考えたことがないと言われたときは、ハッとして目が覚めた。」
- 「死は神のみが知る。そのときが来るまで、明るく過ごそうと思った。そうすれば、死も恐ろしくはなく、命のある限り、明るく暮らせそうである。」
- 朝日新聞、9/13/2002、「声」
(評)
- こころは、一つしか、みつめることはできません。感謝に占領されたこころには、不安や恐怖、うつ、怒り、などの苦悩がはいりこめません。
- 生きる喜びに占領されたこころには、死が入り込むことができません。
- 夫婦はありがたいものです。相手がいてくれさえすれば、幸せで過ごせます。失ってはじめて、知るのです。夫婦をお互いに、大切にして、感謝してください。
- それが、免疫力を活性化して、がんの進行も抑制することが、神経、ホルモン、免疫、などの相互関係を研究する科学で、わかっています。
- 配偶者をなくしたかたは、今からでも、亡き人をしのび感謝してください。感謝の力が、不安や恐怖を乗り越えることは、今は亡き人でも違いはありません。今、生きていけるのは、亡き人のおかげでしょう。
- 配偶者のない方は、親、子、友人、社会に、感謝できます。どんなにつらい状況であっても、今、食べて生きていけています(アフリカなどでは、飢餓で死んでいく人が多いのに)。誰かのおかげです。つらい状況から、抜け出るには、冷静な判断が必要です。しかし、今にしか生きていないのですから、今、すでにおかげを受けて生きているという感謝がないと、今、肯定的な判断力に切り替わりません。今受けているおかげに思いをはせて、家族に社会に感謝しましょう。
- 親、子、ご家族を大切にして下さい。子育て、仕事も難しい。実験してみることができなかった。悪意があったわけではなくて、自分の育った環境、おいたち、性格などから、そのようにしかできなかった。下手なところがあったのも、やむをえません。家族同志で責めあわないで下さい。責めていると、心が充分な働きをしません。家族ほどあなたのことを助けてくれる人はいません。父親を自殺や事故で失った孤児、遺族の悲しさ、苦しさを考えてみて下さい。ご家族を大切にして下さい。これから、何ができるかを冷静に考えてください。
夫婦、家族をおろそかにするようなことは、たとえ宗教でも、離れたほうがよい。最も、近い人を苦しめる人が、他の人から心から信用されることはむつかしいでしょう。