小児科医自殺は過労が原因の労災と認定

 東京都内の民間病院の小児科に勤めていた小児科の医師、Nさん(当時44)がうつ病にかかり99年に自殺したのは、過労やストレスが原因だとして、東京地裁は、3月14日、労災と認定した。
 Nさんは、多いときは月8回にも及ぶ宿直で睡眠不足に陥ったと認定。自殺は過労が原因の労災と認め、遺族に補償給付金を支給しないとした新宿労働基準監督署長の決定を取り消した。
 小児科医の過労死はこれまで2件が労基署段階で認められたが、自殺した医師の認定例ははじめてという。
 厚生労働省が05年11月に実施した調査によれば、医者は、夜勤、休日出勤、長時間の連続勤務が多い。Nさんの同年3月の勤務状況は、当直8回、休日出勤6回、24時間以上の連続勤務が7回、休みは2日だけだった。平均よりかなり過酷に見える。

  厚生労働省調査 今回の事例
  平均 最も多い人
当直・夜勤回数 (月平均) 4.5回 15.0回 8回
24時間以上の連続勤務 2.4回 10.0回 7回
休日出勤     6回


 どのような職業であっても、過酷な勤務や夜間勤務の連続は、睡眠障害と心理的ストレスによって、うつ病にかかりやすい。うつ病は、種々の要因が複合して起きるから、医者も、企業で働く人にも、社会的支援の仕組みと、本人のストレス対処法を身につけることが求められる。
 医者は、うつ病を治すのが専門のはず。範をたれて、医者がうつ病になること、自殺することを防止する職場のありかたを指導してほしい。そうでなければ、うつ病の専門家でない他の人たちが迷うではありませんか。医療関係者が、うつ病、自殺予防に真剣に取り組んでいただきたい。

ストレスの受け止め方は、種々の要因が影響している。それぞれを改善する支援が必要である。
メンタルカウンセリングは、ストレス対処法の領域であるが、これでもある程度、ストレスを軽減することができる。

( 0703-026 )