がん患者と看護師(7)
 =がん患者の苦悩

 看護師は、苦悩に満ちた患者に接する、ストレスの大きい仕事である。燃え尽き(バーンアウト)が多いという。燃え尽きは、うつ病である。看護師が、うつ病にならないようにしたい。
 うつ病になったら、医者にかかる。それでも、治らない場合には、どこに相談するか、どこで治療するか、深刻な現状である。この問題は、うつ病になる人だから、国民の1割くらいだろう。だが、「がん」は、影響する人が多い。
 看護師になるのは、一部の人だが、がん患者になる人は、男性は2人に一人、女性は3人に1人だという。
 月刊雑誌「がん」(発行=(株)日本医療情報出版)の3月号は「がん患者が今求める支援とは?」を特集した。平成16年に、全国の53医療機関、15患者会・支援団体で実施したアンケート(7885人)の結果を紹介している。まとめたのは、静岡県立静岡がんセンターである。
 これによれば、がん患者の悩みは、 である。しかし、 静岡がんセンターにある相談窓口での相談内容は であった。図の淡い青が、「不安などの心の悩み」である。がん患者は、「不安などの心の悩み」をかかえる人が多いが、医療機関(がんセンター)の相談窓口で、相談する人は、ごくわずかだ。 「不安などの心の悩み」については、医師や看護師などの医療専門職には、期待していない。

 では、患者は、「不安などの心の悩み」について誰に相談しているかというと、家族、友人、知人などらしい。あるいは、誰にも相談せず、自分一人でかかえているようだ。

 誰でも、がん患者になるリスクが高い。不安、恐怖、怒りにあまりに振り回されると、残りの人生の質(QOL)が低下し、症状が悪化し、余命が縮まる。がん患者になったら、不安や死についても、自分で洞察することをおすすめしたい。また、看護師の方も、がん患者がそれをすることをすすめていただくことを願う。そして、そういう患者に常に接する自分の心についても洞察していただくのに、使っていただきたいと思う。