がん患者と看護師(8)
 =がん患者の不満

 月刊雑誌「がん」(発行=(株)日本医療情報出版)の3月号は「がん患者が今求める支援とは?」を特集した。平成16年に、全国の53医療機関、15患者会・支援団体で実施したアンケート(7885人)の結果を紹介している。まとめたのは、静岡県立静岡がんセンターである。
 これによれば、がん患者は「不安などの心の悩み」を49%の人が持つのに、がんセンターの相談窓口でそれを相談する人は、わずかに2%強い。つまり、がんセンターでは、心の悩みの相談にはのってくれないとあきらめているようだ。  別の質問があり、各要素に不満、どちらかといえば不満と答えた要素のうち「心のケア」に、その不満の合計が、75%だった。

 この結果をどう受け止めておくか。がん専門のがんセンターでさえも、患者は、心の問題で悩む人が多いのに、「心のケア」に不満という人が、75%もいる。(これは、同センターへの不満ではない。全国レベルである)。
 心のケアについて、医療機関が、支援してくれることを期待できるのは、相当の長期間の準備が必要だろう。がん患者の心のケア専門担当のスタッフが育成されるまで、相当の期間が必要になるだろう。
 がんは、誰でもかかる。男性の2人に1人、女性の3人に1人は、がん患者になる。そこで、すべての人が、自分で、準備することも考えておくべきだろう。がんは、慢性病とされる。がんと宣告されてから闘病が始まり、すぐ、死の不安という心の問題が始まる。すぐ、うつ病になったり、自殺する人もいる。手術して、5年間、転移、再発の不安がある。あまりに、不安を強めると、がんが悪化したり、うつ病になる。がんは、長期の闘病となる。こういうがん患者は、自分の心を洞察する自己洞察瞑想法をすすめたい。うつ病の予防にもなる。
 看護師の方は、がん患者が、心の不安をかかえているのに、病院では、そのことにケアされない不満を持っていることを理解しておくことになる。その苦痛、とケアされない不満から、患者が、看護師に、つらくあたることもある。看護師は、職務上、それに対して、あからさまに抵抗できないので、看護師には、相当のストレスとなる。