カウンセラーのストレス(1)
うつ病、パニック障害、依存症、対人恐怖、自殺問題、などが薬物療法で治らない場合、心理療法者、つまり、カウンセラーに期待したいところですが、カウンセラーがストレスをかかえています。
自殺予防対策がさけばれているのに、精神科医、内科医に、期待するような対策ばかりが眼につきます。
なぜ、カウンセラーに期待すると言わないのでしょうか。下の参照文献に、カウンセラーのストレスについて紹介しています。
まず、地位が不安定であることからストレスがある。常勤としての地位を得ているのは、一部の臨床心理士だけで、医療施設、学校、企業では非常勤である。(359頁)
スクールカウンセラーが最も多く、2か所以上に勤務が55.7%。「年収は専門職の平均におよばないようである。」
「継続学習が欠かせないのであるが、経済的にその余裕のない人が多い。」
「精神科領域では、心理査定(テスト)だけを依頼されることが多く、心理職としての物足りなさを感じている人が多い。」(359頁)
こういう状況では、臨床心理士が、種々の精神疾患の治療法を習得する余裕がない。医者も、心理査定(テスト)だけを依頼することが多く、「治す」までは、期待しない。これでは、種々の社会問題の解決に、カウンセラーに期待するような発言が出てこないのは当然のようだ。薬物療法に限界があることがわかってきた以上、カウンセラーの待遇を変えていくことが必要である。それをしないと、この領域に人材が参入しないし、新しい心理療法を研究、習得できないだろう。
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(参照)『ストレス診療ハンドブック』メディカル・サイエンス・インターナショナル、359頁。