カウンセラーのストレス(3)

 カウンセラーのストレスの3番目は、「自分の力量に自信がもてない」があげられている。
 臨床心理士でさえも、自分のカウンセリングの力量に自信がない人が多いという。  カウンセリングは、積極的なアドバイスはしないもので、傾聴するものだという考え方があって、これを学んだ臨床心理士も多いだろう。だが、クライアントは、もう少し積極的な助言を必要とする人が多くて、現場の臨床心理士が、それを感じているのではないだろうか。治す力量も、求められて、ストレスを感じるのではないか。理論、たてまえと、現場の要請(クライアントの期待)が乖離しているのではなないか。
 カウンセラーは、助言はしない、「傾聴」して、クライアントが自分で気づくのを待つという方針で、そういう「カウンセリング技法」しか、習得していないのならば、うつ病やパニック障害、対人恐怖症などを治す力量はないだろう。

もう、力量に自信のない「カウンセラー」はいらない?
 アメリカのマインドフルネス&アクセプタンスの手法をみれば、積極的な助言をしているから、あれは、「カウンセリング」ではなくて、「心理療法」「セラピー」だろう。日本には、セラピーを行う「セラピスト」が少ないのだろう。こんなに、種々の心の病気、自殺が減少しないのであれば、カウンセリングはもう十分で、セラピーが必要ではないか。医者が行わない「心理療法」を行なう「心理療法家」が。
 もし、カウンセリング業の団体があくまでも、その方針でいくのであれば、もう一つ「セラピスト」を育成していく制度を作らないと、心理療法が行われないのではないだろうか。もし、カウンセラーが、積極的な「治療」をしないというのであれば、健康保険の対象にはできないだろう。そこへんの検討、整理もしないと、うつ病、パニック障害、対人恐怖症、パーソナリティ障害、自殺防止、などの(積極的な助言をする)心理療法がいつまでも、発展しないおそれがあるのではないか。 しかし、臨床心理士は、心の病気に相当詳しいのだから、カウンセリングは傾聴のみという枠組みを超えて、積極的な助言を行なう人が、臨床心理士の中からも多くでなければすまない時代になったのではないのか。