カウンセラーのストレス(4)
カウンセラーのストレスの3番目は、「自分の力量に自信がもてない」があげられている。
その続きで、こんなことが指摘されている。
「また、相談室に安住して決まった形の面接やテストばかりに固執している心理臨床家は、実際の援助場面の中で孤立しがちである。柔軟でオープンな態度をもって、日頃から他の職種の人たちとの交流と連携を深め、一見心理的援助とはいえそうにない活動にも積極的に参加することが大事である。自分の力量に自信がもてないということは、ある意味では孤立化している証拠でもあり、援助チームの中で力を貸し合うことによって、他者の評価に裏打ちされた本当の自信が生まれるのである。それに気がつけば、このストレスはポジティブな動機づけに転換するであろう。」
「決まった形の面接やテストばかりに固執している心理臨床家」などと書かれるのは、やはり、新しい、効果あるカウンセリング技法を学ばないか、カウンセラーとしてはあまり適性がない方かもしれないですね。「自分の力量に自信がもてない」という人が、50%もいるとは、驚きます。これは、カウンセラー業界の問題ではありませんか。医者が、薬物療法で治らない人をカウンセラーにまわさないのは、こんなところにもわけがあるのでしょうか。
カウンセリングとは、積極的な助言をせずに、傾聴に徹するという方針もきかれますが、そうだとすると、もう一つ、積極的な助言をする心理療法者の育成を早急にすべきですね。昨年、案が出た「医療心理士」は、そういうものでしょうか。診断は医者がして、治す心理療法は、その力量を持つ「医療心理士」が行なうのでしょうか。成立しなかったのですが、再検討する価値がありそうですね。病気を治すことに実績のある心理療法を駆使できる心理士が、医者と連携して、積極的な助言をしていくというのは、どうでしょうか。さらに、医者と独立して心理療法を提供できる心理療法者認定ができないものでしょうか。経済特区で、実験をしてみたらどうでしょうか。自治体の同意があれば、実現できますが・・・・。
自殺が多くて、今の専門家、今の制度では、限界にきている。8年連続自殺が3万人以上。ひきこもりも減少しない。心の病気やパーソナリティの問題による非行犯罪は多い。新しい形の支援者や仕組みが必要でしょう。
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(参照)『ストレス診療ハンドブック』メディカル・サイエンス・インターナショナル、360頁。