医療改革 とても安心できない

 「少子高齢化が進んでも、安心して病院にかかれるようにしよう。そんなうたい文句で、医療制度改革法が成立した。
 しかし、医療の置かれた状況を見渡せば、本当に安心できる制度になるか心もとない。」

 これは、朝日新聞の社説(6/19/06)の言葉である。「医療改革 とても安心できない」という 社説では、高齢者の医療費負担増加、 病状の安定しているお年寄りが入院している(「社会的入院」)療養病床の6割削減、都道府県が中心になって新たに医療費の抑制計画をつくること、病院の配置、政府管掌健康保険や市町村の国民健康保険の県単位の再編、医師不足などについて言及している。課題が山積みだ。

 こういう中で、私どもの活動にかかわりがあるのは、都道府県が中心になる医療費の抑制計画である。社説は、こういう。

 「改革のもう一つの柱は、都道府県が中心になって新たに医療費の抑制計画をつくることだ。糖尿病などの生活習慣病の予防や入院期間の短縮を盛り込んで、医療費を抑えようというのだ。 」

 必要な医療を切り捨てるのではなくて、予防や早期治癒によって、医療費が削減できる可能性があるということだ。
 たとえば、がんノイローゼ(心気症)の人は、身体のちょっとした反応でも、がんではないかと不安になって、検査を繰り返す。病院をはしごする。不眠症には、心理的ストレスや生活習慣のみだれによって起きるものがある。医者に行くと、睡眠薬などの薬物療法を行なう。こういうことで家庭と健保の医療費がかさむ。心理的なストレスによって起きる心身症も多いだろう。ただ、薬だけでの治療では、完治しにくく、医療費がかさむ。患者のQOL(生活の質)も低くなる。心理ストレスへの対処法を習得すれば、予防、早期治癒になる。本人にとっても、幸福である。
 うつ病やパニック障害が薬物療法では完治せず、長く薬物療法が継続される。だが、心理療法を行なえば早期治癒、完治も期待できる。薬物療法重視の医療が言われる。これも、医療費の負担になる。工夫によっては、予防もできる。糖尿病のほか、うつ病、パニック障害、対人恐怖、はては、心身症などで、医療費がかさむほかに、働くことが難しくなり、生活保護の受給者が増加して、負担がふえる。
 県や市町村は、計画を作るにあたって、個人、家庭の利益になるような計画を作ってほしい。地域住民も、そういう支援ができるところはするべきでしょう。医者も、こういう心理療法やカウンセリング、地域住民の活動で支援治できるものは、協力もし、ゆずるのはゆずって、忙しいのを解消して、薬物療法や手術など医者ならではの医療に力をつくしてほしい。そのためには、県、市町村、住民、事業所、みな、協力が重要だ。