医療費の抑制に、予防も重要

 医療費を圧縮しようとしている厚労省の試案が、10月14日わかった。 その実現には高齢者の窓口負担を今の倍の原則2割とするなど大幅な負担増が不可欠としている。
 短期策は、
○長期入院患者の食費・居住費の自己負担化
○一定所得以上の高齢者の窓口負担を3割に引き上げ
○高額療養費制度の上限見直しなど。

 中長期策では、
○生活習慣病対策
○入院日数短縮などの数値目標を都道府県ごとに決める
などが盛り込まれている。

 医療費の負担が大きくなると、家計を圧迫して、病気になっても、医療を受けられなくなるかもしれない。医療費の増加は、各自治体の国民健康保険を圧迫するから、医療費抑制対策がとられるだろう。こういう傾向をみると、病気を予防できるところは、なるべく、予防して、病気にかからないようにするという予防対策が、家庭にとっても、自治体にとっても、重要になる。
 心理的ストレスによって、身体の種々の臓器の病気が起こるという「心身症」がある。また、心理的ストレスによって、うつ病、パニック障害、PTSD、などの心の病気にもある。心身症や心の病気になってしまうと、医者にかかるので、家庭と自治体の医療費が増加する。心理的ストレスによる、こういう病気は、予防できるのだから、日常、実践しておくべきだろう。今、紹介している、アクセプタンス、マインドフルネスの心得が含まれている実践である。坐禅に似ている心のくふうである(私は腹式呼吸法を含めて「自己洞察法」とよんでいる。アメリカのアクセプタンス、マインドフルネスとほぼ同じである)。「坐禅」は、別な目標を持つので、その実践法も異なっている。はたから見ると、坐禅に似ているが、内容がかなり異なる。説明も、坐禅は、禅僧の語録を説明することが併用されるが、「自己洞察法」での説明は、そういうものはなくて、生理学、心理学などの科学的な内容と、アクセプタンスやマインドフルネスの実行法である。
 感覚、思考、感情、衝動、情動性自律反応、それらにふりまわされる非機能的行動の害など、心の全体を観察し、静観し、受容し、建設的な行動をとるという心の訓練によって、感情的になって、ストレスでさわぐことが少なくなって、心の病気が予防される。また、ストレス、感情の繰り返しによる自律神経の失調、ホルモン、免疫などの失調から起きる身体の病気が予防される。
 簡単な実践であるのに、アメリカほどには、日本では、知られていない。心身症、心の病気の予防に効果的であるから、これを全国で、実施していただきたいものである。