奈良の妊婦死亡=産科医らに波紋
=過酷な勤務状況、ミスが許されないストレス状況で
asahi.comに( 2006年10月23日 )、「奈良の妊婦死亡=産科医らに波紋 処置に賛否両論」という記事があります。
奈良県の町立病院で、重体となった妊婦が19病院に搬送を断られた末、脳内出血で
死亡した問題があった。警察は業務上過失致死容疑で捜査する方針を固めたという。
「医師不足が急速に進む中、昼夜を問わずに地域の分娩(ぶんべん)と向き合う産科医の悩
みは共通する。出産時の幸福感との落差があまりにも大きい医療事故にどう対応していくか。県警
の捜査が進むのを横目に、「担い手の減少に拍車がかかる」との懸念も膨らむ。 」
奈良県は救急搬送体制の整備が遅れていることも原因らしく、どちらがわにも、同情すべき点があって、悲しいことです。
医者の側からみてみると、医者はストレスの大きい職業だ。他の職業にも、種々のミスがあるが、人命に直接、かかわりがあ
るわけではないので、ミスは、とり返すことができる。だが、医者の場合、ミスが、命にかかわる
ことがあるので、気がぬけない勤務が続いている。それなのに、患者が多く、医師不足の病院があ
る。宿直勤務は週3回以上。疲れれば、人間だから、判断力が変わる。
「奈良県内では3月にも、大和高田市立病院で出産直後の妊婦が大量出血で死亡し、産科医が同
容疑で書類送検された。今回、妊婦の受け入れを打診されたが、満床を理由に断った病院の産科医
は「担当医なりに一生懸命やった結果、立件されるようでは、ますます産科医をめざす若者がいな
くなる」と漏らす。 」
小児科も、夜間勤務が多い。症状をうまく語れないこどもの診断はむつかしいらしい。産科、同様、医師の希望者が減少している。
医療事故が起きて、刑事事件として、医者個人が裁かれるのでは、リスクの大きい診療科目や、医者の少ない地域は、医者が敬遠するのは、自然だ。そういうふうになるのは、国や県にも、責任があるのだろう。こういうことになるのでは、奈良県の産科医は、他県に引っ越したくなるだろう。奈良県は、救急搬送体制の整備が遅れているという。
「■行政への批判も
他県より遅れている救急搬送体制の整備を急ぐよう提言する産科医も多い。奈良の産科医療に詳
しい医師は「県は救急搬送を大阪の病院に頼り、県内の搬送システムの整備をおざなりにしてきた
。怠慢を認め、県民に謝罪すべきだ」と憤る。」
医者は、毎日、多くの患者を診察し、むつかしい手術をこなしていく。当直もある。休日は少な
い。これでは、ストレスが一般人より大きいから、ストレス性の疾患になる割合が高く、自殺率も
高いだろう。大学時代から、医学生の方が他の学部生よりも、自殺率が高い。
働く環境をととのえて、医者がよゆうをもてる勤務条件を作らないと、困るのは、患者となる国
民だ。(次に、医者の方が、自殺率が高い、という記事をみておきます。医者のストレス緩和の本
もみられます。)