線維筋痛症

 2月2日(2007)、人気アナウンサーが自殺した。昨年10月に出産後、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)の治療中だったという。
 線維筋痛症は、全身の各所に慢性的な痛みが出る病気で、現在は原因不明だという。激しい痛みのほか、倦怠感、睡眠障害、抑うつ、頭痛などの自覚症状がある。40−50代の女性に多いとされる。症状は、精神的なストレス、環境の変化に影響を受けやすいという。治療には、精神安定剤あるいは抗うつ剤(SSRI、 SNRI、三環系の抗うつ剤など)が使用されるという。
 これらの症状は、うつ病の症状に類似する。うつ病にも、少数の部位に痛みのある場合がある。線維筋痛症の場合には、痛みの箇所が多く、その痛みの強さが激しいようだ。痛みは、抑うつを伴いやすい。うつが重症化すると、自殺念慮が起きることが一般である。線維筋痛症から、うつが深まり、自殺に至るのだろう。
 線維筋痛症そのものは、生命の危険はないとされている。だから、うつ状態を深めないことが大切だろう。線維筋痛症でなくても、うつ病だけで、自殺することがあるのだから、うつの症状と強い痛みが持続すれば、充分なケアをしないと、自殺の危険があることになる。
 もし、上記のようであれば、マインドフルネス心理療法も、線維筋痛症の痛みの緩和とうつの改善に効果があるかもしれない。マインドフルネス心理療法は、うつ病の改善の効果がある。マサチューセッツ大学医療センターのストレス緩和プログラム(SRRP=ストレスリダクション&リラクセーション・プログラム) でも、痛みの緩和に効果があったとされている。
 痛みやSRRPについては、次の記事がある。  抹消からの痛みの刺激は、脊髄後角で中継されるが、ここには、縫線核セロトニン神経からの軸索がおりてきて、痛みを抑制している。ここを経由して、痛みが上にのぼり、前部帯状回で痛みが感知される。縫線核セロトニン神経が充分活性化すると、ある程度までの痛みは抑制される。マインドフルネス心理療法やSRRPは、痛みを緩和するが、縫線核セロトニン神経(および、帯状回認知領域も)を活性化して、抗うつ薬と似た痛み緩和の効果があると推測される。また、SRRPは、ストレスに対する心理的な耐性(一貫性意識やストレス耐性=上記の記事)が向上するという。これによっても、痛みに耐える力が向上するだろう。これは、前頭前野や帯状回認知領域の活性化によって、感情処理能力が向上するためではなかろうか。
 マサチューセッツ大学医療センターのSRRPは、正座瞑想、ヨーガ瞑想、ボディスキャンの3つが基本である。ためしてみられるといい。痛みの緩和やストレス耐性が向上するだろう。これらは、当協会でもご説明できます。 ( 0702-009 )