うつ=妻の重荷(2)
=患者を生きる(朝日新聞)
朝日新聞で「患者を生きる」という連載記事が掲載されている。今「うつ」についての、連載が続いている。8月1日から5日は、「妻の重荷」。要約して、ポイントをおしらせします。
次の続きです。
99年6月、大阪府の主婦、三村藍さん(46)は、うつ病と診断された。薬物療法を続けたが治らない。自殺しかけたが、思いとどまった。
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「この経験で、気持ちに変化が出てきた。定期的に診察に通い、薬も飲んでいたが、「もっとしっかり、先生と向き合おう」と思えた。」
- 「翌10月、主治医の指導で薬の飲み方を変えた。不眠を治すため、それまで朝飲んでいた薬を夜飲むようにした。
これが効果があったと、三村さんは思っている。10日ほどで、体の重さが抜けてきた。昼間の眠気は残ったものの、少しづつ夜眠れる時間が増えた。」(中略)(B)
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「3年余り、半分寝たきりのような生活を送ったため、体力はなかなか戻らなかった。(中略)
しかし、次第にそれもなくなっていった。
暮らしが落ち着くと、闘病中の思いを含めた自伝を書きか上げた。思い切って自費出版したのは、同じ病気で悩む人に、少しでも役に立てばと思ったからだ。」
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「今も、月1度は診療所に通う。「ホームドラマの最終回みたいに、すべてが良好、なんてありえない。でも、うつは必ず治ると信じてほしい」
(朝日新聞 8/3/2006)
これが、三村さんの経過だが、いくつか注意点がある。
- 「主治医の指導で薬の飲み方を変えた。」「
これが効果があったと、三村さんは思っている。」(B)
ここだが、私は、三村さんの場合、薬の効果は、プラシーボだと思う。こんなに、長くたってから、薬効があるという薬など、効果ある薬ではない。薬はきかない人もいて、三村さんの場合、きかないタイプだろう。
三村さんは、薬の効果だと思うが、薬物療法を受けた人は、そう思いがちである。こんなに長い間かかって、薬物の効果が出てくるということは臨床試験で、ためされているわけではない。長い闘病の後に、改善した人もいるが、薬の効果だと判明しているわけではない。
- 長期間の闘病には、経済的にたえられない人がいる。3年も、無収入で、治るのを信じてまてというのは、無茶だ。
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長期間のうちに、ストレス状況の変化、生活習慣の変化、家族の協力、心理的変化などが起きて、それで治った可能性が高い。うつ病は、セロトニン神経の障害とイコールではない。
三村さんは、この頃から、状況や心理が変化したのだろう。
本には、書かれていると思うが、心理的な変化がいくつかあって、改善してきたのだろう。
- 問題は、まだ、月1回、診療所に通っていることだ。これは、完治していないことを意味するだろう。薬物療法の場合、なかなかやめられず、こういうことが続いて、家計や健康保険の財政を圧迫する。
- 「うつは必ず治ると信じてほしい」といいたいが、10年、20年も薬物療法で治らない人がいる。うつ病は、100%治るという証拠はない。
薬物療法で治ったという人の、ストレス状況の変化、生活習慣の変化、家族の協力、心理的変化などの側面を調査研究して、本当に、薬物療法の効果かどうかを調査研究すべきだ。薬物療法だけで、本当に効果があるのか。そうでないと、信じこませて、裏切られる人も出てくる。何年、自殺しないで耐えて、薬を服用しろというのが薬物療法なのか。
- 三村さんも、PTAの役員をやめて、ストレスがなくなったはずなのに、うつ病が治らなかった。種々のエゴイズム(いじめ、セクハラ、差別など)、貧困によるストレス、によって、他者をうつ病に追い込むことがあるが、その原因を除去しても、うつ病は治らないことがある。後遺症のように、長く、苦しませる。
うつ病においこまない社会制度の改善、支援の仕組みを構築しなければならない。