うつ=妻の重荷(3)
=患者を生きる(朝日新聞)
朝日新聞で「患者を生きる」という連載記事が掲載されている。今「うつ」についての、連載が続いている。8月1日から5日は、「妻の重荷」。もう一つの事例。要約して、ポイントをおしらせします。
00年、近畿地方の理容店の、島田玲子さん(62)は、うつ病になった。
- 夫とは、恋愛結婚だったが、夫は結婚した途端に変わった。きびしい人だった。暴力を振るわれて、実家に帰ったこともあった。
- 離婚はしなかったが「どこかで夫への遠慮や恐怖心を抱えて生きてきたと思う。仕事柄、普通の夫婦よりも一緒にいる時間は長い。語気の荒い夫に「おい」と声をかけられるだけでどきっとする。怒られないよう、夫に逆らわない。」
- 「体の変調を感じたのは00年、55歳の時だ。うつ病ではないかと疑ったが、2年内科に通った末、医師にたずねると、「気にすると思ったから言わなかったけど、たぶんそうだと思います。」
(朝日新聞 8/4/2006)
ひどい医者だと思う。わかっているならば、はっきりいうべきだ。専門の治療を受けたいと患者は思うはずだ。病名がはっきりすれば、患者は、それなりの対策をとる。医者が本人にも家族にも告知しないのは、とんでもない。
多分、そう思ったのは、最近かもしれない。いいそびれていたのかもしれない。自分の診断ミスを隠したいために。
2年、むだな時間と医療費をかけた。うつ病は、患者本位の医療が行なわれていない。長いひきこもり、自殺、心中の危険性がある病気なのに、あまりに、患者の立場が軽視されている領域だ。
うつ病は、ライフイベント(人生上の大きな出来事)による場合が多いが、ほかに、「日常いらだち事」によっても、うつ病になる。軽いストレスが長い期間持続して、飽和点に達して、うつ病になる。島田さんは、このケースだろう。
(続)