育児ノイローゼの母親、2児を殺害=奈良県

 =育児うつ病による心中未遂か?

 8月28日午後0時5分ごろ、奈良県天理市の会社員Sさん(38)方から、女性の声で「子どもを殺した」と110番通報があった。警察署員が駆けつけると、長男の幼稚園児Tちゃん(4)と長女Mちゃん(4カ月)が死亡していた。自宅にいた母親のN容疑者(35)が「私が殺して通報した」などと話したた。
 調べによると、「エプロンのひもで絞めた。子どもの調子が悪くて悩んでおり、自分も死のうと思った」などと話しており、県警は育児に悩んで無理心中を図ろうとしたとみている。  N容疑者は「上の子がシャボン玉の液を誤って飲み、体に発疹ができるようになった。私のせいだ」「7月ごろから一緒に死のうと思っていた」などと話しているという。
 N容疑者は4月にMちゃんを出産。Tちゃんの通っていた幼稚園のO園長に6月20日から「長女の世話が大変なので大阪の実家で子育てする」との理由で、8月末まで休園届を出していたという。
 O園長は「(N容疑者は)独りで悩んでいるようには見えなかった。Tちゃんは積み木で車を作って遊ぶのが好きな子だった。夏休みに入る前も『大阪のおばあちゃんのところで遊んだ』とたくさん話してくれたのに信じられない」と話した。 ( 2006年08月28日, asahi.com、読売新聞HP)
 育児うつ病により心中未遂事件のようです。母だけが生き残るということがよくあります。裁判になり、やがて、育児うつ病からは解放されて、正気になっても(あるいは、治らず)、今度は、わが子を殺害したことの苦悩で、また、うつ病が深まっていく可能性があります。
 うつ病の特徴を知って、再発を防止しないと、いけません。
 母が、夫や園長にさえも、心中の決意をもらさないことがある、ということ。ただ、早い段階で、悩みは漏らしたはずで、あるいは、周囲からみていると、悩む様子、うつ気味になる様子がわかるはずです。周囲は、うつ病について勉強しておいて、大切な人の悩みを察知しなければいけません。やはり、家族が一番支援すべきです。家族が全面的に支援しないと、ながびくことになり、悲劇もおきます。なぜなら、うつ病になると、思考、判断力が変わり、行動意欲(支援、解決を求める行動さえも)がなくなりますから。認知のゆがみがおきていますので、カウンセリングで改善する可能性はあるわけです。
 ただ、夫も関係者も、忙しいために、十分な支援をできない場合があるので、公的相談機関で支援して、さらに、地域の他の支援団体(子育てや、うつ病の支援)と連携をとっていくということが必要なのでしょう。