小山明子さん介護うつ(1)

 =看病・介護疲れからうつ病

 うつ病、自殺は、他人事ではないのです。 前回は、身体の病気になった本人が「うつ病」になっていく、そのうちの一部の方は自殺するというリスクを述べました。
 今度は、その病人、要介護者の家族が「うつ病」になって、心中するつもりで、その病人・要介護者と心中したり、自分では死にきれずに、殺人という罪に問われるという悲惨な結果を招くことも多いということを知っておきたい。

 11月1日(2005)の朝日新聞の「ひと」に、女優の小山明子さんが、ご主人の大島渚さん(映画監督)の介護で、「うつ」になったことを紹介している。監督が96年に、脳溢血で倒れた。思うように介護できず、うつになり、死に場所を求めて家出したことも。精神科に入院した。退院後も、思うにまかせず悩む。4度目の入院の時、作業療法でギョーザを作ってから、「私にもできる」と変わりだした。その後、水泳、ヨガも気分転換になり、5年に治療を終えた。半身麻痺と言語障害、車いす生活の監督に、やさしい言葉をかけている。

 重い病気や介護の必要な人を看病したり、介護したりしている家族の方が「疲れて」、うつ病になり、心中や殺人が起きています。その例を、いつかご紹介してみます。
 老夫婦が、遠くに住んでいて、その子どもたちは、遠く離れたところで、幸福な家庭を営んでいる、こういう構図は、日本には多いのです。だが、もし、その老夫婦のどちらかが、病気になったり、身体が不自由になっていれば、うつ病になって、悲劇が起きる可能性があります。住んでいるところを離れられない事情にある家族が、うつになっていないかを、おとづれて励まし支援できるのは、「遠くの身内より、近くの他人」です。地元に住むご近所が、老夫婦の悩んでいる方を支援するしくみをつくりたいものです。さらに、その時に、うつ病の診断スキル、予防(できれば治癒も)のスキルが必要となります。利用できる、病院の紹介、公的サービス、介護保険などの助言を行うほかに、心理的なサポートがあれば、うつ病、自殺、心中、家族殺人を予防できるのだと思います。