介護疲れ自殺、心中、殺人の防止
=介護疲れ自殺、心中、殺人の危険チェック
介護疲れ、看病疲れによって、介護者、または、被介護者が、自殺したり、心中したり、殺人を犯したりすることが起きている。これは、次のことによって、抑うつ状態となるためであることが
多いようである。抑うつ状態になると、将来を悲観する、自分を否定(無力観、無価値観)する、
判断が弱まり視野狭窄になる、行動力がそこなわれる、対人交渉の力がそこなわれる、自殺念慮が起きるという「うつ病」の症状が起きるためであると推測される。
抑うつ状態になるのは、身体の疲弊や心理的ストレスが強くて、しかも、ストレスを社会的な支援、自分の努力で、軽減または解消できない場合に起きる。次のような因子が、介護疲れ自殺、心中、殺人のリスクに至る因子である。該当することが多いほど、危険が高まる。
介護疲れ自殺、心中、殺人を防止するには、こういうリスク因子を、改善する必要がある。本人(介護される人、する人)の努力、家族の配慮、地域の支援網の整備である。医療機関、介護機関、カウンセリング組織、その他の地域の支援網、自治体などの連携、啓蒙、教育、新サービスの提供などが必要となる。
(A)介護する人
- (A-1)在宅介護の方がリスクが高い。
- (A-2)臆病、警戒心、他者への不信感があり、外部の支援があっても助けを求めない傾向がある。自己表現できない 、内向的、内気である。
- (A-3)考え方が従来から、悲観的、否定的な傾向がある。
- (A-4)以前に、うつ病や不安障害にかかったことがある。
- (A-5)今、認知症、うつ病、不安障害である。
- (A-6)まじめ、几帳面な性格。
- (A-7)自分で世話をするという意識が強い。外部サービスを利用することを拒否する傾向がある。
- (A-8)男性(夫、息子)が介護している。
- (A-9)高齢である。
- (A-10)介護する人にも病気がある。病気が重くなってきた。
- (A-11)生死観の確立がない。ストレスへの耐性が弱い。
- (A-12)以前から被介護者と仲がよいとはいえない。(ただし、仲がよくても、他の因子が強いと、悲劇は起きる)
- (A-13)介護、看護の合間に、息抜き、リラクセーション、趣味などを行なわない。
- (A-14)介護期間が長い。
(B)介護される人
=被介護人が自ら自殺するリスクは、上記の「介護する人」と重複する因子も多いが、介護者の自殺、心中、殺人になるのは、「介護される人」に、次の因子があると、さらに、リスクが強まる。
- (B-1)介護、看護される期間が長い。
- (B-2)病状が重い。重度である。
- (B-3)夜に介護者を起こすことが多い。
- (B-4)言葉でのコミュニケーションが充分できない。(認知症、言語障害など)
- (B-5)以前に、うつ病、不安障害などにかかったことがある。(苦しみを強く訴える割合が高くて、介護者も悩みが深まりがち)
- (B-6)生死観の確立がない。ストレスへの耐性が弱い。
(苦しみを強く訴える割合が高くて、介護者も悩みが深まりがち)
(C)家族状況
- (C-1)老夫婦のみの家庭で、子どもがいない。
- (C-2)子どもがいても、遠くに住んでいる。
- (C-3)子どもがいても、同居していても、充分に支援できない状況である。(仕事が忙しいとか、男性である、親子の不和、など)
- (C-4)子どもがいても、特定の人に介護が集中している。
(D)経済状況
- (D-1)有料で、充分な外部サービス(医療、介護、カウンセリングなど)を受けられるような経済状況でない。
- (D-2)生活保護を受けたいほど困窮しているが、何らかの事情で受けられない。
(E)外部の支援
- (E-1)医療のサービスを充分利用していない。(通院、入院、在宅)
- (E-2)介護保険のサービスを充分利用していない。(施設、在宅、デイケア)
- (E-3)介護関連の夜のサービスを充分利用していない。
- (E-4)精神科、カウンセリングのケアを充分受けていない。
- (E-5)民生委員のケア、保険外サービスについて、地域の支援がされていない。(地域による)