目次・介護疲れ
介護の悲劇=介護疲れによる心中あいつぐ(2008年1月)
最近、介護にまつわる悲劇の報道があいついでいる。
- 埼玉県で無理心中
1月8日、無職男性(72)と妻(71)が死亡。
娘夫婦と同居していた。
妻が病気で入退院を繰り返し、男性は介護で悩んでいた。無理心中とみられる。
兆候があった。
この日、訪れた娘に「飛び降りる」など不審な言動をしていた。
- 東京都で90歳母と68歳娘が死亡、介護途絶え病死
1月8日、無職の女性(90)と長女(68)が死亡しているのを、訪ねてきた次女(66)が発見した。長女先に病死し、寝たきりだった母が介護を受けられなくなって死亡したもよう。
女性は約2年前に脳梗塞(こうそく)を患い、その後、重度の要介護者になった。長女はぜんそくの持病があった。
1日朝、泊まり込みの介護ヘルパーの女性が出たあと、連絡が取れなくなった。
- 宮城県で介護疲れで無理心中
7日、飲食店経営の女性(59)と、父親(86)が死亡していた。
「介護に疲れた」との内容の女性の遺書があったといい、無理心中を図ったとみている。 2人暮らしで、父親は約15年前から寝たきり状態だった。
覚悟の無理心中だった。女性から6日、親族に「明日、仕事が終わったら家に来てほしい」と電話があったという。
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青森県で、無理心中、死に切れぬ娘、殺人で逮捕
6日、無職の女性(82)が死亡。同居の次女(58)を殺人の疑いで逮捕された。「介護に疲れた」などと供述し、無理心中しようとしたとみられる。
女性は数年前から寝たきりで要介護認定を受け、訪問介護などを利用していたが、普段は次女が世話をしていた。次女は、自分の首など数か所を刃物で切った状態でいたところを親族に発見された。
- 奈良県で、介護疲れで無理心中、9歳女児・母・祖母の3人が死亡
5日、奈良県で、県道に止まっていた軽乗用車の中で、同県の
小3年の女児(9)が死亡していた。近くで、
祖母(56)と母(31)が首死亡していた。
祖母の夫(73)は認知症で、二人が介護していた。
介護疲れによる無理心中、殺人が多い。この国では、長生きすることは苦しみをもたらすのだ。ムダなことに予算が使われているといわれる。介護関連の事業に予算をまわすべきではないのか。介護が長引くと、まず、多くがうつ病になると理解しておくべきだ。特に、危険因子は次の場合だ。
介護にはいると、うつになることが多いので、介護状態にはいったら、すぐに、介護疲れうつ病にならないような智慧を教えてもらうのがいいのだろうが、誰が教えてくれるのか、わかりにくい。ホームページには「がんばらない介護」などを教えてくれている。
自殺防止の活動にかかわっているが、たいてい、インターネットを利用していないようだ。インターネットによらないで、別の手段で、地元に支援してくれるところをみつけておいたほうがいいのだ。わかっているが、情報も少ない。まちづくりの会員でもあるので、介護疲れの悲劇を防止するためのサービスについて、地元になにがあるのか、情報を集めて提供していくことをすすめたい。私どもができるのは、うつ病の予防、改善だが、介護状態にある家庭にどうかかわれるのか、課題だ。民生委員のような公的な委嘱制度があれば、ケアマネージャーが信頼して、呼んでくれてメンタルケアの介入をしやすいのか、わからない。介護疲れの無理心中、殺人がこれほど多いのは、かつてない異常事態で、全く新しい対策をとらなければならないのだろう。