介護心中の問題点=NHK(2)

 6月28日、NHK「クローズアップ現代」で「介護心中・殺人事件」の分析について放送があった。

「防げなかった悲劇〜相次ぐ介護心中・殺人事件〜」
 今年(2006)2月1日、54歳の息子(K)が、認知症の母(86歳)と心中したが、自分だけ生き残って、殺人の裁判。その裁判を通して、明らかになった支援対策の不備。

 母は、2005年4月から、認知症が悪化。日中でも、外を徘徊するようになり、息子が、仕事中でも、母を保護したと警察から電話で呼びされる。
 もっと助けを求められなかったのか、とアナウンサー。
縦割り行政の壁。個人情報をたてに支援者に説明しない行政。 どうすればいいのか。
 長野県下諏訪町。介護保険を利用していない高齢者を洗い出して、訪問している。介護する家族もささえる。5年前、無理心中事件があったのがきっかけ。民生委員など複数の福祉関係者がいたにもかかわらず悲劇が起きた。町の相談員が高齢者のかかりつけ病院、民生委員、遠くに住む家族、近所の聞き取り調査を行い、定期的に見守る仕組みである。得た情報は、相談員がデータベースに入力する。
 課題がある。こういう支援を頑固に拒む高齢者がいる。老々介護に固執する高齢者がいる。そういう場合でも、相談員はあきらめずに、訪問している。がんばっていても、介護する人が、疲れてくる。

 ゲストの話では、この4月、厚生労働省が地域包括支援センターを作れと指示した。ケアマネジャーは、一人でかかえこまないで、そこへ持ち込むことが期待されている。
 民生委員、ケアマネジャーなど、一定の職務を遂行する人はぬけがおきるかもしれないので、こういう下諏訪町の相談員は、参考になる。
 高齢者で、介護する人は、うつ気味になっていることも考えておかねばならない。京都のケースで(D)生活保護を受けようとして、Kが福祉事務所をおとずれた時、コミュニケーション能力や判断力に問題があったのではないか。十分に交渉せずに、すぐにあきらめたようである。なぜ、だめであるのか、本人が十分、理解できたとは思えない。個人情報をたてに、十分説明しない応対には、問題がある。冷静な支援者が同行できるようにしたい。しかし、支援を拒む人もいる。やがてゆきづまる。自分で墓穴を掘っているようなものだが、それは、まだ介護者が元気なうちは、自覚されにくい。やがて、うつになった時には、判断力が変わり、視野が狭く、もっと自覚されなくなる。冷静な第3者が、特に、介護関連のサービス、うつに理解ある第3者が、しつこく、みまわるしくみが構築できたらいい。