老老介護心中=和歌山
 =妻のみ生き残る

 10月16日午前1時40分ごろ、和歌山県かつらぎ町で、無職男性(73)が自宅寝室で 首をつり死亡。妻(72)がベッドの上で顔にポリ袋をかぶせられた状態で寝ているのを家族が見つけた。男性は死亡したが、妻は助かった。無理心中を図ったとみられる。
 妻は病気で首から下がほとんど動かず、会話も十分できない状態で、約10年前から寝たきり。娘夫婦の家族と同居していたが、いずれも仕事を持っており、妻の介護は男性が主に引き受けていたという。男性も心臓を患い、来月に手術する予定だった。男性とみられる筆跡の走り書きで「自分が入院したら家族に迷惑をかけてしまう。これしか方法がない」などという内容が記されたメモ用紙が見つかった。 ( 2006年10月16日,asahi.com )
 老々介護による無理心中である。介護施設にはいれるといい(そこでも、虐待が多くて、やすまるわけでもないが)が、空き室が十分なくて、待ちの状況だという。在宅介護による自殺、心中は、どこでも起きる悲劇だ。介護が長引くと、介護される人もされる人も、悩むので、うつ病になりやすい。子どもと同居していても、介護保険のサービスは限度があって、心理的、肉体的な苦労が多いから、うつになる。さらに、高齢者には、死の不安もあって、心理的な苦悩はさらに大きい。死ぬのが怖いという思考を繰り返していると、かえって、死が近くなる(うつ病になって、その症状としての自殺念慮)という矛盾がある。病気の高齢者には、死が近いという心理的なストレスがあるから、せめて、肉体的な苦悩、不便さを改善しないと、うつが強まり、自殺・心中の悲劇が起きる。子どもと同居しても、これを防止できない。
 この男性の場合、子どもに迷惑をかけたくないという覚悟の自殺のようにも見える。だが、こんなに、老老介護による自殺が多いのは、対策が不十分だ。子どもと同居しても、介護のつらさから自殺、心中が起きている。リハビリの制限といい、医療保険、介護保険によるサービスは高齢者むけは抑制傾向。長生きしたら苦しむことが多い。健康でない高齢者は早く死ね、といわんばかりの高齢者福祉が貧困な国です。
 私も、いつそうなるのか、時間の問題だ。