ニート=(1)パーソナリティ障害
ニートは、種々の人たちから構成されていると言われている。
- (A)「就職口がなくてやむを得ず」
- (B)「仕事に要求される技能がない」
- (C)「向いている仕事がわからない」
- (D)「高い夢を抱き、それにあう仕事がみつからない」
- (E)「対人恐怖から」
- (F)「うつ病」から
- (G)「パーソナリティ障害」から
- (H)その他
(A)(B)は、職業関連の公的機関や財界による就職口の情報提示や就職相談、技能訓練などが提供されることで改善の方向が見える。だが、他に、むつかしいケースがあるようだ。
(C)(D)は、精神疾患ではない。(E)(F)(G)などは、精神疾患である。両方とも家族だけでは対応がむつかしいよである。
まず、(G)パーソナリティ障害により、就職する気にならないとか、就職できても、対人関係などのトラブルからやめてしまい、その繰り返しから、やがて就職活動もしなくなるケースがある。ニートの一部には、こういう人がいるであろう。
パーソナリティ障害には、種々のタイプがある。たとえば、
-
回避性パーソナリティ障害の場合、その症状の一つに、「批判、否認、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける」という症状がある。
-
依存性パーソナリティ障害の場合、「日常のことを決めるにも、他の人達からのありあまるほどの助言と保証がなければできない」「自分自身の考えで計画を始めたり、または物事を行うことが困難である」というような症状がある。
-
強迫性パーソナリティ障害の場合、「活動の主要点が見失われるまでに、細目、規則、一覧表、順序、構成、または予定表にとらわれる」「他人が自分のやるやり方どおりに従わない限り、仕事を任せることができない、または一緒に仕事をすることができない」というような症状がある。
-
境界性パーソナリティ障害には、「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式」「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難」がみられる
。
このような障害があって、十分なカウンセリング、サポートが受けられないで、軽減・治癒に至らず、就職できない状況におきこまれている若者もいるだろう。ニート対策をたてる場合に、こういうことで長く苦労している人達の支援策も考えてもらいたい。
ほかに、自己愛パーソナリティ障害は、(D)「高い夢を抱き、それにあう仕事がみつからない」ケースに関連することがあるだろう。(C)「向いている仕事がわからない」というケースの一部には、パーソナリティ障害には該当しないが、広くみられる依存的、変化への恐怖を背景にした「拒絶性スタイル」による場合があるだろう。こういうケースが多いようであるから、別にみていく。